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2025年04月01日

ビジネス成功の秘訣:信頼関係を築く「回り道」の重要性。なんでもメールで済まそうとする人は成功しない

突然ですが質問です。 初めて会った異性の方と名刺交換をし、少し会話をして別れました。その数日後にいきなりメールで結婚を申し込んだとします。この場合、答えは「Yes」でしょうか、それとも「No」でしょうか?

答えは絶対とは言えませんが、9割以上が「No」でしょう。通常、結婚という目的を達成するためには、デートや会話を重ね、少しずつ信頼関係を築くことが必要です。

ビジネスにおいても同様で、突然「仕事ください」「誰かを紹介してください」というような依頼をするのは得策ではありません。成功には段階を踏むことが重要です。

今回はメールだけで済まそうとしてビジネスチャンスを逃した方の事例を紹介しますので、営業活動に役立てていただければ幸いです。

実話:突然の依頼で逃したチャンス

ある方(以下、Aさんとします。)がOBC 大田ビジネスコミュニティセンターのレンタルオフィスへの入会希望ということで、内覧に来られました。その際に名刺交換をし、Aさんの希望や業務について詳しく話をしました。Aさんは50代後半の元技術者で、前職で部長まで経験したものの役員にはなれなかったので、コンサルタントとして独立したそうです。当然、社会人経験も豊富な方でした。

しかし、OBCの利用条件面で合意に至らないことが分かったので、近隣の別のレンタルオフィス(競合他社です!しかもOBCより高い!)を紹介しました。

それから数ヶ月後、Aさんから以下の内容のメールが届きました。

「OBC様 以前ご紹介いただいたレンタルオフィスに入会しました。ありがとうございました。 つきましては、これから事業を進めるにあたり、OBCの会員様やお知り合いをご紹介いただけませんでしょうか?」

他社のレンタルオフィスに入会したにもかかわらず、当社の顧客でもないAさんが「顧客を紹介してほしい」と依頼してきたのです。唖然としつつもメールで丁重にお断りしましたが、Noという返事以外ありえないと思わなかったのでしょうか?

なぜ直接会うことが重要なのか?

もしAさんが直接、OBCに挨拶に来て感謝の意を表していたとしたら、状況は大きく変わったかもしれません。一度顔を合わせている関係であれば、対面で事業の方向性や希望を具体的に話すことで、新たな可能性が生まれていたかもしれません。

直接会うことは、メールでは得られない信頼や関係性を築くために欠かせない手段です。

まとめ:成功に必要な「回り道」

ビジネスには時間をかけて信頼関係を築く「回り道」が必要です。いきなり大きなお願いをするのではなく、小さなステップを重ねて関係を深めていくことが、成功への近道となります。

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは悪い事例を紹介しながらコンサルティングを行うことでもできますので、ご相談ください。

2025年03月19日

ちょっと待って コンサルタントとして独立を検討している方へ

はじめに

昨今、コンサルタントの廃業が多いと報道されていますが、自分の経験を活かしてコンサルタントとして独立を考えている方は多いようです。既に経験のある分野で、初期投資が少なく、自宅やレンタルオフィスで手軽に開業できるので、リスクは低いように感じます。しかし、実際には多くのコンサルタントとしてが失敗しているのが現実です。この記事では、独立を考えている方が直面するリスクや成功のための準備について詳しく解説します。

独立を考える前に知っておくべき現実

1. 50代後半〜60代前半の独立は特にリスクが高い

これまで多くの早期退職者がコンサルタントとして独立するも、失敗するケースを見てきました。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターに入会されたレンタルオフィス会員の中にも同様の方がいましたが、ほとんどの方が撤退を余儀なくされています。残念ながら成功事例を知りません。

2. 30代〜40代なら軌道修正のチャンスがある

比較的若い世代での独立であれば、途中で軌道修正が可能です。それはまだ先輩などからの助言を受け入れる土壌があるからです。しかし、それでも事前準備が不十分なまま独立すると厳しい現実に直面するでしょう。

コンサルタントの現実

3. コンサルタントは資格がなくても名乗れる

コンサルタントには特別な資格が不要で、誰でも名乗ることができます。しかし、資格があっても仕事が取れるとは限りません。市場で評価されるのは、資格ではなく能力や実績、人脈です。

4. 大手企業勤務者は要注意

特に大手企業で勤務していた方は、会社のブランドや組織の力に依存していたことを自覚していないことが多いです。独立後は、その看板がなくなり、途端に相手にされなくなる可能性が高いことも覚悟してください。また、独立後に必要な営業や経理、ホームページ等の作成等の知識や経験も足りていません。また、それらを外部に頼むとコストが掛かることも認識しなければなりません。

5. 「スキルがある=仕事が来る」ではない

どんなに高度な技術や専門知識があっても、それだけで仕事は来ません。まず営業力や人脈がなければ、どんなに優れたスキルがあっても仕事にはつながりません(医師のように実績がわかりやすい職種は別です)。

独立前にやるべきこと

6. 独立前に人脈を作る

独立してから営業を始めても遅いです。開業と同時に仕事を発注されないのであれば、はっきり言って準備不足です。理想は、独立前から安定した案件を確保できるように人脈を築いておくことです。また、既に開業した先輩経営者のアドバイスを貰うことです。

7. 顧問契約を事前に確保する

独立と同時に顧問契約が取れるくらいの準備ができていなければ、経済的に厳しいスタートになる可能性が高いです。少なくとも数ヶ月分の収入を見込める目途がついてから独立するべきです。

独立のリスク

8. 家庭があるなら慎重に

家庭がある場合、独立は大きなリスクになります。収入が不安定な期間が長引けば、家族に大きな負担がかかります。個人的な意見として、家庭があるなら独立を考えなおした方が良いです。

9. 貯金はすぐに尽きる

貯金があっても、固定費や生活費ですぐになくなります。特に収入が安定するまでの期間を甘く見積もると、資金が底をつく可能性があります。あと、厳しい意見ですが、自分の思うようには進みません。

10. 税金や社会保険料の負担が大きい

住民税は前年の収入を基に課税されるため、収入がゼロになっても税金の支払いが発生します。これを考慮せずに独立すると、予想外の出費に苦しむことになります。また、社会保険の任意継続を選択した場合、会社との折半ではなくなりますので要注意です。

11. 自宅開業のデメリット

自宅で仕事をする場合、家族に煙たがられることがあります。仕事とプライベートの境界が曖昧になり、居心地が悪くなるケースも少なくありません。

海外での可能性

今まで開業に伴う厳しい現実を書いてきましたが、海外でなら活躍の機会があるかもしれません。特に、現地のニーズに合った専門知識を提供できる場合はチャンスが広がります。ただ、これも人脈がないと海外で活躍するのは難しいです。

まとめ:独立には相当の覚悟が必要!

コンサルタントとして独立することは、決して簡単な道ではありません。安易な独立は、顧客や家族、自分自身にも迷惑をかけることになります。独立前にしっかりと準備を整え、本当に成功できる見込みがあるのかを慎重に判断してください。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは、開業前の事前相談も承っております(ただし有償)。大きな決断をする前に客観的な意見を求めたい方はお問い合わせください。

参考として、クライアントの視点でどういうコンサルタントが選ばれるのやコンサルタントの役割をまとめた記事も掲載しておきます。

良いコンサルタントの見つけ方 - OBC 大田ビジネスコミュニティセンター

コンサルタントの役割について考える - OBC 大田ビジネスコミュニティセンター

2025年01月25日

【事例】契約書なしの取引が招いた債権回収トラブルと解決策

 

最近、OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターのお客様で売掛金ができずに相談を受ける事案が相次いでいます。契約書なしで取引を進めた結果、想定外のトラブルに見舞われた事例をもとに、契約書の重要性と取引リスクを軽減する方法について解説します。


はじめに:契約書の重要性

契約書は、取引における双方の権利義務を明確にし、トラブル発生時の法的根拠となる重要な文書です。私が会社勤めしていた際、上司から「契約書とは自分を守るための武器であり盾である。」と教えられました。

しかし、日本の中小企業では、いまだに口約束で取引を進め、トラブルになるケースが多く見られます。本記事では、契約書がないことで発生した2つの事例を紹介し、対策方法を考察します。


事例1:許認可取得代行の未払いトラブル

状況

ある行政書士が許認可取得代行を依頼され、口約束で業務を進めたそうです。業務が完遂し、請求書を送っても依頼主から報酬を支払ってもらえずどうすれば良いでしょうか?という相談がありました。依頼者とは連絡は取れるものの、言い訳を繰り返し支払いを先延ばしにされていたそうです。

解決方法

ヒアリングの結果、相手と連絡がつき、実態のある店舗でビジネスをされているとのことだったので、再度期限を決めて支払い督促し、期日までに支払いがない場合は委任権限に基づき、許認可を取り下げることことを提案しました。また、「許認可を出した行政機関にも報告する」と付け加えるようにアドバイスしました。

結果

今回は相手からの支払いがあり解決しましたが、相談者は債権回収に至るまでの精神的負担が大きかったと言っていました。今後は、契約書や見積書を提示し、支払い条件を明記したり、前金での受注を徹底するようにアドバイスしました。


事例2:商社の夜逃げ債権回収不能

状況

次に、別のレンタルオフィスの会員様から相談を受けた事例を紹介します。相談者は大手企業向けに製品を設計・製作し納品していました。しかし、その大手企業は中小企業と直接取引したがらないことから、大手企業から紹介された商社を経由で取引していたそうです。大手企業からの紹介ということで安心したため、その商社とは何ら契約書を締結せずに数年間取引していたそうです。ところが、その商社が突然夜逃げし、売掛金数百万円を回収不能に陥りました。相談者が商社の事務所を訪問したところ、既にもぬけの殻で、連絡もつかない状況でした。

解決方法

相談者には、商業登記簿を取得して商社の代表者個人の住所に支払い督促の内容証明郵便を送ったり、不法行為により法人と代表者個人を対象とした民事訴訟をすること弁護士に相談してはどうかと提案しました。本人訴訟であれば費用はそれほど掛からないことも伝えました。また、紹介元となった大手企業にも事態を説明するようアドバイスしました。

結果

相談者は、契約書がないことや裁判への抵抗感から債権回収を諦めたそうです。ただ、相談者には仕入れ代金を氏ら払う必要があったため、アルバイトをする事態になりました。


契約書作成のメリット

身近に起きた2つの事例を紹介しましたが、これらに共通するのは、やはり契約書なしに取引を進めてしまったことです。もちろん、契約書があったからと言って売掛金の回収ができる訳ではないですが、契約書があれば法的根拠として支払い督促したり、訴訟で有利になります。更に、支払い遅延の場合のペナルティや代表者個人への連帯保証をつけさせることもできます。また、金額が大きい場合は一部前金にしてもらうという方法もあります。

最も大事なことは、契約書を作成する過程で、自社にどんなリスクがあり、それを回避する方法を考える時間ができることです。これにより、相手が本当に望ましい取引先なのかを見極め、取引上のリスクを低減することができます。


契約書のおかげで訴訟に勝利

自分で契約書を作成するとなると手間や時間が掛かりますし、法律もある程度知らなければなりません。また、弁護士にリーガルチェックを依頼すると費用も掛かります。

ですが、これらの手間や費用を掛けることが自分を守る保険となるのです。実際、OBCでもレンタルオフィスの会費滞納者に対し損害賠償請求訴訟をしましたが、その根拠となるのはやはり契約書です。現在、2件の裁判が終了し、、1件は完全勝訴、もう1件は概ねこちらの主張が認められた形での和解が成立しました。両者とも会費滞納分だけでなく、違約金や延滞利息まで支払うことになりました。これらは契約書に記載があり、合意していたからこそ認められたのです。

継続取引や金額の多い取引、トラブルリスクになると感じた場合、まず契約書の作成から始めることを推奨します。相手が急いでいるとか納期がないからと言った場合でも、しっかり準備をしないと、後でトラブルになるリスクが高いです。代金を払ってもらえず、自分の支払いは猶予されず、弁護士費用まで掛かるとなると、資金に余裕がない場合、会社倒産してしまう恐れがあります。


まとめ

契約書は、トラブルを未然に防ぎ、万が一の際に自社を守る強力なツールです。特に継続取引や金額の大きい案件では、契約書を作成する時間を惜しまず、リスクを軽減するための準備を徹底しましょう。また、費用が掛かっても信頼できる弁護士を探し、リーガルチェックを依頼することを推奨します。第三者の意見や法的根拠に基づく強い契約書を作成して貰えます。

ご契約は慎重に!

2024年12月16日

コンサルタントの役割について考える

以前、「良いコンサルタントの見つけ方」という記事を書きましたが、今回はコンサルタントの役割について考えてみたいと思います。

私が考えるコンサルタントの役割とは、クライアントの意向に寄り添いながら、より良い方向に導く“軍師”のような存在です。一方、営業代行は“傭兵”のような役割だと言えるでしょう。この二つの役割には明確な違いがあります。しかし、現実にはこの違いを混同しているクライアントが少なくありません。軍師に傭兵の役割を期待されてもうまくいきません。

例えば最近、次のような依頼がありました。

  • 「開業したので何か仕事を紹介してほしい」
  • 「開業したばかりで何をして良いかわからないので、一から教えてほしい」

このような依頼にはお応えできません。それどころか、経営者としてその程度の考えしか持たずに開業したのなら、すぐに開業を取り下げた方が良いとお伝えしています。厳しいようですが、経営を軽々しく考えて欲しくないからです。そのような考えでは、経営者本人以上に、その顧客に迷惑を掛けるリスクが高いと考えてるからです。


勢いでの独立・開業のリスクと覚悟

勢いに任せて独立・開業してしまうケースは少なくありません。過去に聞いた話では、勤務先と衝突して退職したものの次の就職先が見つからず、やむを得ず独立したという例もありました。こうした場合、準備不足で苦労することが多いですが、背水の陣で業務に邁進し、結果的に成功する方もいます。

一方で、準備不足のままでは多くのリスクを抱えることになります。守秘義務のため詳細は控えますが、私がコンサルティングを行ったある士業の方の場合、開業後半年で売上250万円を超えました。その方も開業当初は不安を抱えていましたが、コンサルタントとして私が助言をすることで、軌道に乗り始めたと感謝されています。その方によると、同時期に開業した方々には既に廃業したケース、思うように案件が取れずアルバイトに専念せざるを得ないケースもあったようです。経営者としての覚悟と準備がいかに重要かを改めて感じます。


副業的開業における注意点

副業として開業を目指す方も増えていますが、注意が必要です。業種によりますが、不動産賃貸経営や転売ビジネスなどのように、比較的柔軟な時間で対応できる業務は副業に向いていると言えます。しかし、平日日中に顧客や業者との打ち合わせや役所手続きが必要な業務では、特に注意が必要です。

本業がおろそかになることで会社での評価が下がったり、顧客から対応の悪さを指摘されるケースが少なくありません。このような方に対して私は、「どこまで本気で事業を行いたいのか」「経営者としての覚悟はあるのか」を見つめなおすようアドバイスしています。

副業を成功させるためには、自身の置かれた環境や、副業を行うメリット・デメリットを十分に精査することが不可欠です。こうしたプロセスを支援するのがコンサルタントの役割でもあります。


コンサルタントの役割を理解し活用する

まずはクライアント自身がコンサルタントの役割をしっかりと理解することが重要です。「何を」「どこまで」「いくらで」「いつまでに」依頼するかを明確にすることで、コンサルタントの能力を最大限に活用できます。

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは、レンタルオフィスの会員でなくてもコンサルティングを受けられます。特に製造業、サービス業、士業に関するコンサルティングを得意としておりますので、お気軽にご相談ください。ただし、有料サービスなのと、対面でのコンサルティングが必須ですので、蒲田周辺の方限定となります。

2024年08月21日

業務改善の進め方(5) 社員からの改善提案は不要

以前、ある製造業の社長様から、事務や現場で働く社員からの改善提案が出ないという悩みを聞きました。その会社では過去に改善提案に対して報酬を出していましたが、それでも提案が増えなかったそうです。

このような状況に対して、「改善提案とは、実は非常にレベルの高い要求です。社員にそれを求めるのは得策ではありません。」と助言しました。今回は、社員に改善提案を求めずに改善をする方法について述べていきます。

1.改善提案の難しさ

改善提案とは、社員が自発的に業務上の問題を把握し、対策を考え、効果を試算し、書面にまとめて提案するという非常に高度なプロセスです。これは、病気の患者が自分で診断を行い、検査や治療法を医師に指定するようなものです。患者が医師に治療を委ねるのと同じく、改善提案から実行までは専門家に任せた方がより効果的なのです。

2. 社員が改善提案を出さない理由

社員が改善提案を出さないのには、下記の理由が考えられます。

  • 改善方法が不明: 問題を把握していても、どう改善して良いか分からない。
  • 自己能力不足の懸念: 複数の社員が同じ業務をしている場合、問題提起が自分の能力不足と思われるリスクがある。
  • 人間関係のリスク: 目立った行動が、同僚との人間関係を悪化させるリスク。
  • 改善失敗のリスク: 改善が失敗した場合、その責任を負うリスク。
  • 報酬の不確実性: 改善が成功しても、報酬が少ない、または確約されていないことがある。

さらに、職場からの改善提案は全体を俯瞰できていないポジションの社員が発案しますので、部分最適になりがちです。せっかく社員が頑張って改善提案を出しても、一度却下されてしまうと萎縮してしまい、次の提案が出にくくなります。

3. 専門家による問題解決の重要性

そこで、私が行う現場改善コンサルティングでは、社員から改善提案を求めるのではなく、職場の問題を抽出することに重点を置いています。職場が抱える問題点や困っていることを徹底的にヒアリングし、対策は私が考えます。ただし、改善策が押し付けにならないように、途中で職場の意見を聞きながら、経営層を含む関係者と事前にすり合わせを行います。また、本格実施前には必ずテスト運用を行い、慎重に改善活動を進めます。この手法は時間がかかりますが、失敗のリスクを最小限に抑えられます。

4. 社員モチベーションの向上

通常、コンサルタントには人事権がありませんので、社員との人間関係がうまく構築できると、気軽に相談して貰えるようになります。さらに、コンサルタントという調整役が入ることで、改善活動による社員間の軋轢を生むことがなく円滑に進められます。

また、私の場合は、改善により得られた便益を金額で評価し、その一部をボーナスとして社員に還元することを事前に社長に約束してもらいます(通常便益の1/3を賞与原資としてもらいます。)。これにより社員のモチベーションが向上するのと、コンサルタントへの協力も得られやすくなります。

また、ある程度改善活動が軌道に乗ってくると、徐々に社員たちが自ら考えて行動できるようになってきますので、コンサルティングは後方支援がメインとなっていきます。

5. 会社側にとってのメリット

会社側には一時的にはコンサルティング費用が発生しますが、その費用以上の効果を期待できます。更に社員が改善すると自分たちの収入が増えると実感できますので、より意欲的に働いてくれるようになります。

まとめ

改善提案は社員に求めるのではなく、問題提起にとどめた方が改善活動を進めやすいです。問題解決をプロに任せ、社員に手本を見せることが、より効果的な改善につながります。有能なコンサルタントに依頼することも経営者の仕事であるといえます。

2024年08月06日

小規模事業者持続化補助金の活用事例 申請から入金まで


OBC大田ビジネスコミュニティーセンターでは、第12回小規模事業者持続化補助金を活用し、広告宣伝とサービス向上を図りました。補助金はホームページの作成やチラシのポスティング、防犯カメラの設置等に使用しました。2023年5月に申請準備を開始し、2024年7月にようやく補助金の入金がありました。ここでは、小規模事業者持続化補助金の活用について整理し、その利点と注意点について詳しく見ていきます。

1. 小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者(常時雇用している従業員数による)が経営計画に基づき行う販路開拓等の取り組みを支援するための制度です。販路拡大や業務効率化のための経費の一部が補助されます。基本的には2/3が補助されますが、ホームページ制作費等のウェブ関連費には制約があります。

2. 申請段階

申請の際には、A4サイズで8枚の事業計画書を作成する必要がありました。これには時間と労力がかかり、具体的な計画と見通しを詳細に記載することが求められます。また、商工会議所で中小企業診断士によるチェックがあります。文章の作成に慣れていないと大変な作業となるでしょう。

3. 採択から実施まで

採択後の実施段階では計画に沿って実行するだけですので、それほど問題はありません。ただし、実績報告に必要な書類を事前に確認しておくべきでした。報告時に書類を探すのに苦労しました。

4. 実績報告

実績報告には、見積書、発注書、領収書、現物写真、通帳の振込金額がわかるページの写しなど、多岐にわたる書類が必要です。書類の並び順まで指定されるため、大変な作業となります。

5. 入金

補助金の入金は実績報告後となるため、その間は全額を立て替える必要があります。一時的に資金繰りが厳しくなる場合があるため注意が必要です。

注意事項

  • 見積は正確に: 見積と実際の発注額が異なると総額が変わり、ウェブサイト関連費に影響が出るため注意が必要です。数量に関しては調整可能ですので、バッファーとしてポスティングチラシの枚数で調整しました。
  • 補助金コンサルの活用は慎重に: 申請代行は違法行為となる場合がありますので注意してください。IDやパスワードを開示して丸投げするのは違法行為であり、補助金申請が採択されない場合や返納の可能性もあります。信頼できるコンサルタントの選定が重要です。

補助金活用の是非

補助金の活用においては、以下の点を考慮する必要があります。

  • 手間と時間: 書類作成や実績報告の手間を考慮し、本当に補助金を活用する必要があるか慎重に検討することが重要です。
  • 機会損失: 補助金採択前に発注ができないため、スピード重視の事業では機会損失が生じる可能性があります。
  • 実績報告の準備: 見積書や発注書、領収書、現物写真など多くの書類を整理し、実績報告を見越した書類準備が必要です。
  • 全額立て替えの必要: 入金までの間、全額を立て替える必要があり、資金繰りが悪化するリスクがあります。
  • 単品発注のリスク: 単品発注では採択されないと補助金活用できませんので、複数発注を行うことで、採択拒絶のリスクを回避できます。
  • 商工会議所からの支援がない: 地域によると思いますが、私の場合は申請以降、何も支援はありませんでした。
  • 実績報告の厳格なチェック: 公的資金であるため、実績報告書は細かいところまでチェックされます。

まとめ

補助金をうまく活用することは事業の発展に繋がりますが、手間と時間が掛かるのも事実です。費用対効果を見極めることが重要です。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは、このような補助金申請についての支援も行っております。今回、申請から入金まで経験しましたので、お力になれることもあるかと思います。また、申請書作成相談の実績1件あります。お気軽にご相談ください。

2024年07月29日

製造業の知見で診る非効率な病院運営の改善方法

病院経営と製造業の共通点

病院(クリニックを含む)経営は製造業に似ています。それは一連のプロセスが決まっており、流れ作業で進む点が共通しているからです。私は製造業向けのコンサルティングを本業としています(OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターは副業?ではありません。こちらもしっかり力をいれております。)ので、その視点で病院を観察していると、非効率な運営が多いように感じます。また、問題があっても改善されずに放置されているようにすら感じます。そこで、今回は病院の問題点と業務改善について考察します。

病院のプロセスと製造業の類似点

病院の一般的なプロセスを製造業に置き換えると以下の通りです。

  1. 受  付→材料受入れ
  2. 診  察→加工・製造
  3. 検  査→検査
  4. 結果説明→梱包・出荷
  5. 会  計→請求書発行

このように、病院と製造業は業務プロセスはほぼ同じなので、製造業向けの現場改善コンサルティングの応用が利きます。実際、元京セラ会長である稲盛和夫氏が提唱したアメーバ経営の手法は、京セラがコンサルティング事業として販売しているようです。

製造技術コンサルティングの経験から病院を観察すると、多くの問題点が浮かび上がります。特に、多くの患者が不満を持ち、実際、病院の口コミに書かれている問題点は次の通りです。

  1. 待ち時間が長い
  2. 受付対応が悪い
  3. 医師の診察・治療に不満がある

です。3.の治療に関しては専門外のため割愛しますが、1と2について、原因と対策を考えてみたいと思います。

1 待ち時間と受付対応の問題とその原因

製造業では待ち時間を減らすことで生産量の増加やコスト削減が可能ですが、多くの病院では待ち時間を減らす改善活動が進んでいないようです。ジャストインタイムとは程遠いのが実情です。その原因としては次の点が挙げられます。

  • 管理監督者の不在:クリニックでは通常、院長が診察しているため、受付事務の仕事を把握できていません。
  • 急患・予約なしの患者への対応:完全予約制でない限りこちらはやむを得ない場合もあります。
  • 待ち時間が不明:病院によっては診察までの待ち時間が表示される場合もありますが、検査や会計までの待ち時間を表示されるのは少ないです。その結果、患者から待ち時間を尋ねられ、事務作業の効率が低下します。
  • 相談機会の欠如:受付担当が受付中に責任者である院長に相談できず、仕事のやり方に問題があっても気づけません。
  • 経営知識の不足:医師は治療の研究はしても、経営についての勉強が疎かになりがちのように感じます。
  • 診察がボトルネック:院長の診察がプロセスのボトルネック*1となり、改善しても報酬アップにつながりません。
  • 業務改善の経験不足:受付担当が業務改善の経験が少なく、言われたことをこなすだけで精一杯のように感じます。特にパート社員では収入に上限があるため、改善して評価を上げようとする意識が引くなりがちです。

*1 ボトルネックとは、瓶の一番細い部分という意味で、その工程が生産能力の上限となります。他の工程を改善したとしても、各工程で待ち時間が発生するだけで、生産能力は増えません。但し、だからと言って改善する必要がないということではないです。

2. 改善方法

改善策として、次のアプローチが考えられます。

  1. 患者の時間分析:改善の第一歩は問題の見える化です。まずは受付から会計まで、各工程に掛かった時間とそれまでの待ち時間を分析します。傾向をつかむことが目的ですからおおよその値で構いません。ただ、改善効果を検証するために、継続してデータを分析する必要があります。
  2. 防犯カメラの活用:院長が受付や事務業務を把握できるように、防犯カメラで待合室の状況を確認できるようにする。
  3. 院長休診日の活用:院長が休診でも他の先生が代診している場合は、その時を利用して受付・事務作業を確認します。
  4. 外部コンサルタントの活用:外部コンサルタントに依頼し、患者の視点と改善のプロの視点から問題点の抽出、改善方法やその評価方法をアドバイスしてもらえます。但し、システム会社への相談はお薦めしません。彼らは何かとシステム販売に繋げようとし、コストUPに繋がってしまうからです。まずは現行システムでの改善活動が必要です。

3. 改善活動の効果

改善活動を行った結果、仮に売上(診療報酬)が増えないとしても、受付や看護師、検査技師などの業務に余裕が生まれ、患者に優しく接したりミスが減るという効果が期待できます。その結果、病院の評判が良くなったり、人員配置を見直してコストダウンや事業拡大に繋げることができます。

4. まとめ

病院の待ち時間の問題はまだまだ改善の余地があります。また、受付窓口は患者と最初に接する病院の顔です。院長は医師としてだけでなく、経営者として自院の診断や治療を行い、問題点を改善していくことが求められます。待ち時間の短縮やプロセスの効率化を通じて、患者満足度の向上と業務の円滑化を目指しましょう。

5. 余談

今回、私がこのテーマを選んだのはやはり病院への不満があるからです。診察や検査、治療には満足していても、それまでの過程・やり取りには不満があります。そして、各病院にも共通して言えることは余裕がないことです。どんな組織でも余裕がないと良い仕事はできません。業務改善コンサルタントとして何か力になれないかと考え、今回のブログに書くことにしました。

2024年07月13日

良いコンサルタントの見つけ方

会社経営を行う上で、専門家やコンサルタントの協力や支援が必要となる場面があります。しかし、コンサルティング業務は見積もりだけでは実力を測ることが難しく、報酬が高いと感じることも多いです。私の経験では、高額な報酬を払っても何もしてくれなかった弁護士や税理士、良心的な報酬で親身に対応してくれた弁護士や司法書士、安かろう悪かろうだった税理士など、多くの当たり外れを経験しました。そこで今回は、これらの経験を基に、良いコンサルタントの見つけ方を紹介します。

1. レスポンスが早い

どんなビジネスにおいても共通ですが、レスポンスが遅い人で良い仕事ができる人に出会ったことがありません。忙しくてレスポンスが遅い場合、効率やスケジュール管理が悪い証拠です。即答できなくても、いつまでに回答するかを伝えることができるかどうかで、コンサルタントの実力を見極めることができます。

2. 実績件数以外にもPRしている

「何千人と面談しました」「何百社とコンサルティングしました」といった件数のみを宣伝するコンサルタントは実力がないことが多いです。本腰を入れてコンサルティングしていると、年に数件がやっとです。専任であれば年に1件の場合もあります。コンサルティングの件数だけでなく、実際の中身を聞いて判断する必要があります。また、「長期契約の経験はありますか?」といった質問をすることで、コンサルタントの実績を確認することが必要です。

3. 成功報酬で仕事を受けてもらえる

実力のあるコンサルタントなら、成功報酬でも仕事を受けるはずです。逆に、月額顧問料のみの長期間契約かつ途中解約不可という条件であれば、そのコンサルタントへの依頼は避けるべきです。

私がコンサルタントとして仕事を受ける場合、基本的に成功報酬です。その分報酬が高くなりますので、報酬を抑えたい依頼者様には月額固定報酬+成功報酬を推奨しています。そして、いつでも途中解約可能という条件を提示していますが、実際に途中解約になったことは一度もありません。

4. 報酬の適切性

仕事がない・実力がないコンサルタントは、相場に比べて著しく低額であったり、専門外の案件でも引き受けようとします。特に新人コンサルタントに多い特徴です。安いと感じた場合は、「どうしてこれほど安いのでしょうか?」と報酬の根拠を確認することが重要です。

なお、OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは、レンタルオフィス会員様に対し、無料もしくは破格でコンサルティングをお受けしています。これは、起業家育成支援という考えと、気軽に相談できる相手がいなくて困っているという実情があるからです。

5. 固定電話と事務所はあった方が良い

レンタルオフィスの経営者としてこのようなことを言うのはおかしいのですが、実力のあるコンサルタントは自分の事務所を構え、固定電話を持っています。携帯電話の番号だけしか掲載されていないコンサルタントは実力がないと言えます。これは携帯電話だけの場合、急な電話には対応する必要がありますので、クライアントの仕事が疎かになりがちです。報酬を払う側からすれば、しっかり仕事をして欲しいと思うのは当然のことです。

まとめ

上記のポイントに注意しても必ず良いコンサルタントに当たるとは限りませんが、外れを引く確率は低くなります。質の低いコンサルタントを避け、信頼できるコンサルタントとパートナーシップを築くことが、ビジネス成功の秘訣であるといえます。



2024年07月10日

会社の寿命は思ったよりも短いです。

会員様企業の状況

レンタルオフィスを経営していますと、多くの会員様が入会し、そして退会されます。理想としては事業規模の拡大による卒業退会が増えて欲しいのですが、残念ながら、ほとんどの会員様は事業が行き詰まり、廃業によって退会しています。特に法人設立後3~5年での退会が多い印象です。ここ数年はコロナ禍により給付金や無利息での借入が容易でしたが、現在はそれらの支援もなくなり、円安や物価高によるコストアップが避けられず、経営の厳しい会社が増えているように感じます。

私がOBC大田ビジネスコミュニティーセンターを事業譲受したのが2022年2月ということもあり、まだ半数以上の会員様と対面したことがありません。初めて直接受けた連絡が「廃業するので退会したい」ということもありました。退会理由は、やはり経営難というのがほとんどでした。もっと早くご相談いただければ、何らかの支援ができたのにと悔やむこともあります。

経営支援の重要性

OBCでは、会員様の自主性を重んじ、支援を希望される会員様にしか対応しない方針です。しかし、お困りごとがございましたら、一人で抱え込まず、外部に相談できる関係を築くことも経営者の重要な仕事の一つだと思っています。私たちは、会員様が安心してビジネスを続けられるよう、さまざまな支援を提供しています。

成功事例のご紹介

実際に私と共にビジネスを行ったり、コンサルタントとして支援すると、うまくいった・業績改善したという反響がとても多いです。リソースが限られておりますので、案件によってはお断りする場合もございますが、内容によっては破格の報酬でお受けすることもあります。ここでは、いくつかの成功事例をご紹介いたします。

事例1:スタートアップの成長支援

あるスタートアップ企業は、設立後すぐに顧客不足や資金繰りに苦しんでいました。経営者様からの相談を受け、私は資金調達のための事業計画の作成支援や経費削減のアドバイスを提供しました。また、マーケティング戦略の見直しも行い、結果として売上が大幅に増加し、経営が安定しました。現在、その企業はさらに成長を続けています。

事例2:中小企業の業績改善

もう一つの事例として、大田区内の町工場の業績改善があります。この企業は長年の経営難に苦しんでいましたが、私のアドバイスを受け、業務プロセスの効率化と品質管理体制の構築、新規顧客の開拓に成功しました。特に、改善活動の成果が上がるにつれ、現場のモチベーションも上がり、依頼者の社長様から、「最近、現場が変わってきた」とお褒め頂いたことがあります。

早期相談の重要性

これらの成功事例からも分かるように、経営に行き詰まった際には早めに相談することが非常に重要です。問題が大きくなる前に対策を講じることで、事業の継続や成長が可能になります。OBC大田ビジネスコミュニティーセンターでは、会員様の成功をサポートするための各種サービスを提供していますので、ぜひご活用ください。

最後に

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターは、会員様の成功を第一に考え、さまざまな支援を行っています。お困りごとや相談がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。私たちは、皆様のビジネスが成長し続けるよう、全力でサポートいたします。