お知らせ一覧

2025年05月09日

改善コンサルが読む『ANAのカイゼン』─良かった点、惜しかった点

はじめに:沖縄旅行と「ANAのカイゼン」

ハイサイ。4月末に沖縄へ行ってきました。今回の旅ではANAを利用し、機内で『ANAのカイゼン』という本を読んでいました。私は改善コンサルティングを本業としているため、興味深く読了しつつも、いくつか気づいた点もありました。そこで今回は書評(辛口です)と、実際に搭乗して感じた“カイゼンすべき点”についてお話ししたいと思います。

※文中では、本の表記に合わせ「カイゼン」と表記を統一します(改善との違いは本書にて説明されています)。


ANAのカイゼンの概要と良かった点①

この本によると、ANAのカイゼンは2015年に整備部門から始まったとのこと。これは意外でした。私は2003年に大手製造業に入社し、早々に現場カイゼンに関わりましたので、大手企業なら既に当然のようにカイゼン活動を行っているものと思っていたからです。

やや遅いと感じたものの、「今日が自分にとって一番若い日」。やや遅さは感じつつも、このタイミングで始めたこと自体は素晴らしいと思います。


カイゼンは製造業だけのものではない

トヨタ自動車が生み出したカイゼン手法は製造業のイメージが強いですが、本質は「収益のカイゼン」であり、業種や業務内容は問いません。例えば、以下のようにどんな業種でも共通の業務フローを持っています。

業種フロー
製造業材料仕入れ → 加工・組立 → 検査 → 出荷
整備業搬入 → 整備 → 検査 → 搬出
飲食業食材仕入れ → 調理 → 味見 → 提供
理容業来店 → カット → 検査 → 退店
病 院入院 → 診断・治療 → 検査* → 退院

*治療後の退院可否判断としての検査。

このように、作業の流れが存在する業種であれば、すべてカイゼンの対象となります。


カイゼンの三分類とANAの位置づけ

ANAの取り組みは、いわゆる「自主カイゼン」「QCサークル」に分類されるもので、私はこれを「ボトムアップ型カイゼン」と呼んでいます。

私はカイゼンを以下の3つに分類しています:

  • トップダウン型カイゼン:経営・管理層による方針転換や設備投資など
  • ボトムアップ型カイゼン:現場主導の改善(QCサークルなど)
  • 外部カイゼン:コンサルタントなど第三者の視点によるカイゼン

私は「外部カイゼン」を本業としています。社内に専属担当者を置く場合もありますが、重要なのは「第三者の視点」と「現場との良好な関係構築」、「経営層と現場間でのカイゼンの橋渡し」をすることです。


良かった点②:定量化CAの業務時間削減について

本にはCAの年間業務時間を21,000時間削減したとあります(P4)。ANAのCAは約8,000人(P162)で、稼働率を70%と仮定すると1日あたり約5,600人が勤務していることになります。

  • 21,000時間 ÷ 5,600人 ≒ 3.75時間/年/人
  • これは月あたり約0.3時間(≒20分)程度になります。

削減効果はあるものの、ばらつきや実感には乏しい数字にも思えます(辛口です)。

ですが、ここで最も大事なことは業務時間が本当に減ったのかどうかを定量的に評価しているという点です。

特に中小企業では、なんとなくとか、どんぶり勘定でカイゼンはしているけど、効果がよくわからないという事例が多いです。


良かった点③:5S活動に関して

整備部門の5S事例が紹介されています。工具を「見える化」して再購入を防止するというのは、どんな企業でも導入しやすく良い事例だと思います。欲を言えば、CAや地上係員などのよりサービス業に近い職種の事例も見たかったです。整備部門は整備工場という言葉があるぐらい、製造業に近い業務フローですので。

なお、私の経験では、多くの企業が5Sを「導入している」と言いますが、実際には2S(整頓・清掃)しかできていない印象です。ボトムアップ型のカイゼンでは5Sの中でも「整理」が特に難しいと感じています。理由は現場レベルでは不要なものを”捨てる”という判断がなかなかできないからです。この件については後日別の記事で詳しく述べたいと思います。


惜しかった点①:紙の削減=カイゼン?の落とし穴

紙の使用枚数を年間4,000万枚から半減した(P104)という事例がありますが、単に紙をタブレットに置き換えただけでは不十分です。

まず5Sの「整理」すなわち、書類自体を廃止・簡素化できないかを徹底的に行わないと、タブレットでも検索の手間が増えてしまいます。これはECRS(Eliminate・Combine・Rearrange・Simplify)の原則に則ったアプローチが望ましいです。


惜しかった点②:搭乗体験で気づいた改善余地

1. 搭乗前の動線案内の不明瞭さ

搭乗の順番を示すGroup 1~3などの看板が見づらく、並ぶ位置に迷う人が多かったです。看板を高くする・横幅を広げる・プラカードを持つなど、視認性の改善が必要です。P108には動線のカイゼンという内容が書かれていますので、是非応用して欲しいです。

2. 優先搭乗アナウンスの不明瞭さ

小さなお子様連れの案内後に小学生くらいの家族も搭乗するようにアナウンスしていました。これは問題ないのですが、親御さんの方が迷っている印象を受けました。該当範囲を明確にアナウンス(例:「小学生以下も対象です」)すればスムーズに案内できます。

3. B787のトイレ“使用中”の表示が見えにくい

B787のトイレ扉上部には緑と赤ライトがあります。遠くから見る分にはわかりやすいのですが、扉の前に行くと気づきにくいです。また、扉のロックの位置にも緑と赤の表示がありますが、この表示が小さく、使用中かわからずに開けようとする人が複数いました。これは色の塗り分けや表示面積を大きくするだけで簡単にカイゼンできます。

使用中にドアノブをガチャガチャされるのは、誰しも嫌ですよね。

この3つの事例で気づいた点は、カイゼンの担当者(いるかどうかはわかりませんが)が現場に出ていないことです。P48には三現主義(現場・現物・現実)が徹底されていないことです。なお、カイゼン担当者が現場を見る際は、担当者・経営者・利用者の3つの視点で見ることが重要であると付け加えておきます。


惜しかった点③:「ありがとう」だけでは足りない評価制度

「褒め合う文化」や「KAIZEN AWARD」は良い取り組みですが、成果が金銭的利益を生むなら還元すべきです。私は経営者に対し、カイゼンによって得た利益の1/3を従業員に還元するよう提案しています。やはりモチベーション維持には「ありがとう」だけでは不十分で、カイゼンの定着は難しいといえます。


惜しかった点④:なぜなぜ分析(P66)は要注意

なぜなぜ分析については本来真因分析に使いますが、対象を“ヒト”にしてしまうとパワハラになってしまいます。これについては過去のブログで戒めています。

本書では Q.エアコンのフィルター詰まったのはなぜか? という例が載っていますが、あえて悪い例と言わざるを得ません。

✕ ヒトに原因を求めるパターン(NG)
→「掃除しなかったから」→「担当者がいないから」→…

○ モノや仕組みに焦点を当てた分析(OK)
→「空気が汚れていたから」→「埃が多かったから」→…

ヒトを責めずにカイゼンするため、私は「Why」ではなく「How」で問題を解決すること推奨しています。

例:「どうすればフィルターが詰まらないようにできるか?」

というように、原因の追及よりもカイゼン方法の追及の方が取り組みやすいです。


まとめ:“良かった点”と“惜しかった点”から見えたANAのカイゼンの可能性

ANAのカイゼン活動は、特定部門の一過性の取り組みではなく、全社的な文化として定着させようとしている点に、大きな価値を感じました。特に、現場主導のボトムアップ型カイゼンをここまで全社に広げた努力は、素直に称賛に値します。現場の知恵を引き出す仕組みを構築し、定着させるには、時間も手間もかかるからです。

一方で、外部の視点から見ると、現場観察の徹底度、カイゼン効果の実感、評価と報酬の制度設計など、さらに伸ばせる余地も多く感じました。これは裏を返せば、ANAのカイゼン活動にはまだまだ成長の余地とポテンシャルがあるということでもあります。

私はANAという企業にとても好感を持っています。旅の安心感や、スタッフのホスピタリティは世界に誇れるレベルです。だからこそ、「もっと良くなる」と信じて辛口な意見も書きました。

これからもANAが日本の誇るサービス企業として、空の安全だけでなく、地上の業務にも“改善文化”を根づかせていくことを期待しています。そして、業界の枠を超えて、製造業以外にもカイゼンの文化が広がっていくきっかけになることを、心から応援していますし、また搭乗します。

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターはプロのコンサルタントによるカイゼン導入も支援しています。

2025年04月23日

JR蒲田駅すぐ!「考える力」を育てるロボット教室のご紹介

子どもには、これからの時代に必要な「考える力」や「やり抜く力」を育ててあげたい——そう感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。

そんな方にぜひご紹介したいのが、OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターで開かれているロボット教室です。

この教室は、全国に展開するヒューマンアカデミー ロボット教室のフランチャイズ教室で、キッズロボ合同会社が蒲田駅南口教室として運営されています。


プログラミングは「考える力」を育てる最高の教材

AIの進化により、「これからはプログラミングがいらなくなるのでは?」という声もありますが、大切なのは“プログラミングを学ぶことで得られる思考力や創造力”です。

このロボット教室では、歯車やモーターなどのパーツを使ってロボットを組み立て、プログラムで動かすという一連の流れを体験できます。
子どもたちは「なぜ動かないんだろう?」「こうしたらどうなるかな?」と試行錯誤を重ね、自然と論理的思考や問題解決力を育んでいきます

「失敗」も成長のチャンスに

ロボット作りは一筋縄ではいきません。
でも、うまくいかないときこそ、子どもたちの「考える力」が育つ絶好のタイミング。

この教室では、すぐに答えを教えるのではなく、子どもたち自身が原因を探し、自分の力で乗り越えるよう導いてくれます
「失敗=悪いこと」ではなく、「失敗=次へのヒント」と捉える姿勢が自然と身につきます。

通いやすく安心!教室の場所は蒲田のOBC

教室は、JR蒲田駅西口から徒歩3分のOBC(大田ビジネスコミュニティーセンター)の3階で開催されています。専用ブースと会議室を使って、少人数教育を行っています。アクセスはこちら

OBC周辺には総合病院やコンビニエンスストア、近隣の駐輪場やコインパーキングも多く、通いやすさと利便性を兼ね備えています。

また、施設内にはエレベーター、男女別のお手洗いなど小さなお子さま連れでも安心して通える環境が整っています。

まずは体験会からスタート!

「うちの子に合ってるかな?」「どんな雰囲気か見てみたい」——そんな方には体験会の参加がおすすめです。

実際の教室の雰囲気やお子さんの反応を見てから判断できるので、まずは気軽に参加してみてください。

👉 体験会のお申し込みはこちら


※この記事は、OBC(大田ビジネスコミュニティーセンター)運営の立場から、当施設で開催されているロボット教室についてご紹介したものです。
教室の詳細については、キッズロボ合同会社またはヒューマンアカデミーの公式サイトをご確認ください。

2025年04月16日

バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いとは?注意点や選び方を解説

最近、「バーチャルオフィスとして法人登記をしたい」というご相談が増えてきました。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは、バーチャルオフィス利用での料金体系は設けておりませんが、レンタルオフィス契約をすることでバーチャルオフィスとしての利用していただいているお客様が多いです。

当社の場合、他社のバーチャルオフィスに比べて料金はやや高くなりますが、そこには明確な理由があります。

この記事では、

  • バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違い
  • 契約前に知っておくべき注意点
  • 利用に向いている人のタイプ
    について、分かりやすく解説します。

バーチャルオフィスとは?

バーチャルオフィスは、主に「住所利用」を目的としたサービスで、法人登記や郵便物の転送が可能です。
料金は月額数千円とリーズナブルで、都心の一等地の住所を利用できるケースもあります。

主な特徴:

  • 物理的なオフィススペースはなし(または別料金)
  • 郵便物の受け取りや転送代行あり
  • 無人運営または最小限のスタッフ配置

低価格で法人登記ができるため、初期費用を抑えたいスタートアップに人気ですが、注意すべき点もあります


レンタルオフィスとは?

レンタルオフィスとは、実際に作業できるスペースを備えたオフィスのことを指します。OBCのレンタルオフィスの概要はこちらをご覧ください。
一般的には、個室またはパーテーションで区切られたブース形式のデスクが提供され、共用で利用できる会議室や打ち合わせスペース、Wi-Fi、複合機などのビジネス設備が整っています。

一般の賃貸オフィスとの違い、敷金・礼金・仲介手数料・内装工事・ネット回線の契約などの初期費用が掛からない場合がほとんどです。最小限のコストですぐに業務を開始できるのが魅力です。

また、光熱費や清掃、ネット回線の保守なども月額料金に含まれているケースが多く、コスト管理がしやすい点もメリットです。


バーチャルオフィス契約前の注意点

バーチャルオフィスは低料金や利便性が高い反面、安易に選ぶと後悔することもあります。例えば、以下のような点に注意が必要です。

1. 行政手続きの所在地に注意

法人登記をした住所が、自宅から遠いと法務局・税務署・年金事務所の管轄も遠方になり、書類提出時に交通費や時間が余計にかかります。オンライン化が進んでいるとはいえ、手続きの相談や直接書類提出したい場合には遠方だと手間が掛かります。

2. 銀行口座開設のハードル

バーチャルオフィスの住所によっては、金融機関で口座開設が難しい場合もあります。また、銀行口座開設は会社の最寄りの支店でしかできないので注意が必要です。また、銀行に対して、なぜその住所で法人登記し、事業を行うのかを明確に説明しないと口座開設できない場合があります。

3. トラブル放置のリスク

トラブル企業が退去せず登記を残したまま放置されている事例もあります。違約金の設定があっても、訴訟費用で赤字になるため実質的な対処が難しいのです。よって、格安のバーチャルオフィスでは入会前にヒアリングしてみるのも良いかもしれません。

4.補助金や利子補給を受けられない場合がある

地域によっては、行政が補助金や融資の利子補給などを行っている場合があります。バーチャルオフィスの所在地でそのような行政サービスを受けられるかを事前に確認しておいた方が良いです。地域によって、支援内容が異なっており、大田区ではものづくり系や海外進出支援の行政サービスが多い印象です。

5.オプション料金に注意

法人登記や住所利用の料金が安くても、郵便物や宅配便の転送サービスはオプション料金となっている場合が多いです。また、バーチャルオフィスによっては自分で回収に行くことができない拠点もあります。OBCでは実費のみで転送していますし、ご要望に応じて即日発送もしております。

✅【OBCでは…】
トラブル企業に対しては裁判で移転登記をさせるようにし、住所の信用を守っています。10年以上の運営実績があり、新設法人でも都市銀行での口座開設実績があります(OBCで断られたという話を聞いたことがありません)。また、入会審査もしっかりと行っており、不適切だと思われる方の入会をお断りしています。OBCがバーチャルオフィスをやらない理由はここにあります。


「住所が一等地」=「成功」ではない

勘違いして欲しくないのは、一等地の住所で法人登記をしても、中身が伴っていなければ事業はうまくいきません
住所だけでは信頼を得られないということです。むしろ、開業したばかりで都心の一等地に住所がある場合、バーチャルオフィスだとすぐに見抜かれるかもしれません。

ただし、バーチャルオフィスをうまく活用してコストを抑え、本業に集中するという選択肢ももちろんアリです。


バーチャルオフィスが向いている人

  • 自宅近くにバーチャルオフィスがある方
  • 会社経営経験があり、事務手続きやリスク対応を自分でできる方
  • ECサイト等で一等地の住所にメリットがある方
  • トラブル時に相談できる人脈が豊富な方

レンタルオフィスが向いている人

  • 起業したばかりで営業や事務の知識が不十分な方
  • 誰かに気軽に相談できる環境が欲しい方
  • 自宅と仕事を分けて、オンオフを切り替えたい方
  • 会議室を使う場面が多い方

公的支援機関の活用もおすすめ

東京都の「TOKYO創業ステーション」や大田区の「六郷BASE」などの公共のインキュベーション施設では、創業前後のサポートを受けられます。ただし、公的支援機関などでは月1回の面談や決算書の提出義務など、一定の制約もあります。

実際、OBCに入会される会員様の中には一度上記の公的支援機関に相談を受けてから来られる方もいます。また、OBCでは、会員様の自主性を尊重していますので、あえて積極的な支援は行いません。相談があった場合のみ対応する形をとっています。なお、経営の専門家に相談するのと、実際に事業をおこなっている経営者に相談するのでは得られる情報が異なります。何が自分に合っているか、どういうサービスを受けたいのかを見極める必要があります。


まとめ|オフィス選びは慎重に

オフィス選びは、事業のスタートにおいて極めて重要なポイントです。

安さだけでバーチャルオフィスを選ぶと、後で「こんなはずじゃなかった」という事態になりかねません。自分のビジネススタイルや将来の展望に合ったオフィスを選ぶことが重要です。なお、本店登記の移転には手数料が掛かりますし、それに付随した事務手続きや名刺の再印刷などのコストや手間が増えます。

OBCでは、起業支援・経営相談・実績ある運営体制を備え、安心してビジネスを始めていただける環境をご用意しています。また、提携している士業や専門家のご紹介も可能です。



余談

私がOBCに会員として入会したのは2013年です。当時はプラント設計や技術経営コンサルティングを行っていて、海外を飛び回っていました。そしてコロナ禍を経て、2022年2月にOBCの経営をM&Aで引き継ぎました。

会員としての約9年間は、一人で仕事をしていたので、人との繋がりがお客様か外注先に偏っていました。ですが、先代の経営者の方やパート社員の方、会員の士業の先生と繋がれたことで、いろいろな相談に乗ってもらったり助けていただいておりました。

かと言って横のつながりが緩いのもOBCの特徴だと思っています。特に定期的なイベントや交流会は行っていませんし、原則として会員同士を紹介することもありません。必要に応じて私が仲介することはたまにあるぐらいです。

ですが、バーチャルオフィスのように全く人との繋がりがない環境で、まして自宅で業務をしている場合、気分転換がとても難しいと思います。実際、利害関係のない相談相手がいることで、客観的な意見を気軽に聞けたり、継続的なアドバイスを受けられることもあります。これはOBCならではの良さだと思っており、私が経営を引き継いだ理由のひとつです。

最後に、これから独立・開業を目指す方にお伝えします。厳しいことを言うようですが、ビジネスは自分の思っている通りにはいきません。ですがそれを乗り越えるためには、やはり人と人との繋がりが大事なのだと思います。生成AIのように気軽に相談できる、リアルな人間関係を築くのが成功への近道だと思います。

2025年04月01日

なんでもメールで済まそうとする人は成功しない

突然ですが質問です。 初めて会った異性の方と名刺交換をし、少し会話をして別れました。その数日後にいきなりメールで結婚を申し込んだとします。この場合、答えは「Yes」でしょうか、それとも「No」でしょうか?

答えは絶対とは言えませんが、9割以上が「No」でしょう。通常、結婚という目的を達成するためには、デートや会話を重ね、少しずつ信頼関係を築くことが必要です。

ビジネスにおいても同様で、突然「仕事ください」「誰かを紹介してください」というような依頼をするのは得策ではありません。成功には段階を踏むことが重要です。

今回はメールだけで済まそうとしてビジネスチャンスを逃した方の事例を紹介しますので、営業活動に役立てていただければ幸いです。

実話:突然の依頼で逃したチャンス

ある方(以下、Aさんとします。)がOBC 大田ビジネスコミュニティセンターのレンタルオフィスへの入会希望ということで、内覧に来られました。その際に名刺交換をし、Aさんの希望や業務について詳しく話をしました。Aさんは50代後半の元技術者で、前職で部長まで経験したものの役員にはなれなかったので、コンサルタントとして独立したそうです。当然、社会人経験も豊富な方でした。

しかし、OBCの利用条件面で合意に至らないことが分かったので、近隣の別のレンタルオフィス(競合他社です!しかもOBCより高い!)を紹介しました。

それから数ヶ月後、Aさんから以下の内容のメールが届きました。

「OBC様 以前ご紹介いただいたレンタルオフィスに入会しました。ありがとうございました。 つきましては、これから事業を進めるにあたり、OBCの会員様やお知り合いをご紹介いただけませんでしょうか?」

他社のレンタルオフィスに入会したにもかかわらず、当社の顧客でもないAさんが「顧客を紹介してほしい」と依頼してきたのです。唖然としつつもメールで丁重にお断りしましたが、Noという返事以外ありえないと思わなかったのでしょうか?

なぜ直接会うことが重要なのか?

もしAさんが直接、OBCに挨拶に来て感謝の意を表していたとしたら、状況は大きく変わったかもしれません。一度顔を合わせている関係であれば、対面で事業の方向性や希望を具体的に話すことで、新たな可能性が生まれていたかもしれません。

直接会うことは、メールでは得られない信頼や関係性を築くために欠かせない手段です。メールや電話はアポを取るところまでにしてください。

まとめ:成功に必要な「回り道」

ビジネスには時間をかけて信頼関係を築く「回り道」が必要です。いきなり大きなお願いをするのではなく、小さなステップを重ねて関係を深めていくことが、成功への近道となります。

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは多くの良い事例・悪い事例を紹介しながらコンサルティングを行っております。

2025年03月19日

ちょっと待って コンサルタントとして独立を検討している方へ

はじめに

昨今、コンサルタントの廃業が多いと報道されていますが、自分の経験を活かしてコンサルタントとして独立を考えている方は多いようです。既に経験のある分野で、初期投資が少なく、自宅やレンタルオフィスで手軽に開業できるので、リスクは低いように感じます。しかし、実際には多くのコンサルタントとしてが失敗しているのが現実です。この記事では、独立を考えている方が直面するリスクや成功のための準備について詳しく解説します。

独立を考える前に知っておくべき現実

1. 50代後半〜60代前半の独立は特にリスクが高い

これまで多くの早期退職者がコンサルタントとして独立するも、失敗するケースを見てきました。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターに入会されたレンタルオフィス会員の中にも同様の方がいましたが、ほとんどの方が撤退を余儀なくされています。残念ながら成功事例を知りません。

2. 30代〜40代なら軌道修正のチャンスがある

比較的若い世代での独立であれば、途中で軌道修正が可能です。それはまだ先輩などからの助言を受け入れる土壌があるからです。しかし、それでも事前準備が不十分なまま独立すると厳しい現実に直面するでしょう。

コンサルタントの現実

3. コンサルタントは資格がなくても名乗れる

コンサルタントには特別な資格が不要で、誰でも名乗ることができます。しかし、資格があっても仕事が取れるとは限りません。市場で評価されるのは、資格ではなく能力や実績、人脈です。

4. 大手企業勤務者は要注意

特に大手企業で勤務していた方は、会社のブランドや組織の力に依存していたことを自覚していないことが多いです。独立後は、その看板がなくなり、途端に相手にされなくなる可能性が高いことも覚悟してください。また、独立後に必要な営業や経理、ホームページ等の作成等の知識や経験も足りていません。また、それらを外部に頼むとコストが掛かることも認識しなければなりません。

5. 「スキルがある=仕事が来る」ではない

どんなに高度な技術や専門知識があっても、それだけで仕事は来ません。まず営業力や人脈がなければ、どんなに優れたスキルがあっても仕事にはつながりません(医師のように実績がわかりやすい職種は別です)。

独立前にやるべきこと

6. 独立前に人脈を作る

独立してから営業を始めても遅いです。開業と同時に仕事を発注されないのであれば、はっきり言って準備不足です。理想は、独立前から安定した案件を確保できるように人脈を築いておくことです。また、既に開業した先輩経営者のアドバイスを貰うことです。

7. 顧問契約を事前に確保する

独立と同時に顧問契約が取れるくらいの準備ができていなければ、経済的に厳しいスタートになる可能性が高いです。少なくとも数ヶ月分の収入を見込める目途がついてから独立するべきです。

独立のリスク

8. 家庭があるなら慎重に

家庭がある場合、独立は大きなリスクになります。収入が不安定な期間が長引けば、家族に大きな負担がかかります。個人的な意見として、家庭があるなら独立を考えなおした方が良いです。

9. 貯金はすぐに尽きる

貯金があっても、固定費や生活費ですぐになくなります。特に収入が安定するまでの期間を甘く見積もると、資金が底をつく可能性があります。あと、厳しい意見ですが、自分の思うようには進みません。

10. 税金や社会保険料の負担が大きい

住民税は前年の収入を基に課税されるため、収入がゼロになっても税金の支払いが発生します。これを考慮せずに独立すると、予想外の出費に苦しむことになります。また、社会保険の任意継続を選択した場合、会社との折半ではなくなりますので要注意です。

11. 自宅開業のデメリット

自宅で仕事をする場合、家族に煙たがられることがあります。仕事とプライベートの境界が曖昧になり、居心地が悪くなるケースも少なくありません。

海外での可能性

今まで開業に伴う厳しい現実を書いてきましたが、海外でなら活躍の機会があるかもしれません。特に、現地のニーズに合った専門知識を提供できる場合はチャンスが広がります。ただ、これも人脈がないと海外で活躍するのは難しいです。

まとめ:独立には相当の覚悟が必要!

コンサルタントとして独立することは、決して簡単な道ではありません。安易な独立は、顧客や家族、自分自身にも迷惑をかけることになります。独立前にしっかりと準備を整え、本当に成功できる見込みがあるのかを慎重に判断してください。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターでは、開業前の事前相談も承っております(ただし有償)。大きな決断をする前に客観的な意見を求めたい方はお問い合わせください。

参考として、クライアントの視点でどういうコンサルタントが選ばれるのやコンサルタントの役割をまとめた記事も掲載しておきます。

良いコンサルタントの見つけ方 - OBC 大田ビジネスコミュニティセンター

コンサルタントの役割について考える - OBC 大田ビジネスコミュニティセンター

2025年03月12日

動画撮影用機材の貸出し(無料)のお知らせ

OBC大田ビジネスコミュニティーセンターでは、YouTubeやInstagram(インスタグラム)に投稿する動画を撮影できる貸し会議室をご提供しています。この機会にYouTuberやインスタグラマーデビューしてみませんか?

グリーンバックや照明、収音マイクなどの機材もご用意しておりますので、本格的な動画撮影が可能です。第1会議室・第2会議室のどちらでもご利用可能です。会議室ご予約時にお申込みください。

貸し会議室での動画撮影のメリット

機材の利用が無料:会議室の料金だけで利用できる!
グリーンバック完備:背景を自由に合成できるため、プロ仕様の映像制作が可能!
高品質な照明設備:光の色を変えられるので、好みの動画を撮影できる!
収音マイクあり:ノイズの少ないクリアな音声で動画を制作可能!
会議室だから落ち着いた環境:オフィスやカフェよりも静かで撮影しやすい!

会議室をご予約の際に、これらの撮影機材をご希望の場合はお申し込みください。

動画編集の外部業者をご紹介可能!

撮影した動画を編集したい方には、プロの動画編集業者のご紹介も可能です。編集作業が不安な方も、お気軽にご相談ください!

【注意事項】貸し会議室のご利用について

📌 最低ご予約時間は2時間とさせていただきます。予約時間内の前後30分はスタッフが機材を設置します。
📌 撮影用のカメラ(スマートフォン可)や、収音マイクのデータ保存用PCをご持参ください。
📌 完全防音ではございません。救急車のサイレンなどの外部音が入る可能性がございます。
📌 騒音の少ない時間帯をご希望の方は、事前にご相談ください。

ご予約・お問い合わせはこちら!

お問い合わせフォーム
ご予約・お問合せ - OBC 大田ビジネスコミュニティセンター

LINEに友だち登録すると、会議室の空き状況の確認や割引クーポンを配信していきます。

OBC大田ビジネスコミュニティーセンター | LINE 公式アカウント

2025年03月11日

三幸福祉カレッジ様主催の介護福祉士実務者研修のお知らせ

三幸福祉カレッジ主催の介護福祉士実務者研修が、OBC大田ビジネスコミュニティセンター(東京都大田区西蒲田)の第1会議室にて開催されます。

会場アクセス

会場はJR蒲田駅南口から徒歩3分と、通いやすい立地です。近隣にはリーズナブルな中華料理店ラーメン店が多く、研修の合間の食事にも便利。さらに、会場の隣にはコンビニもあり、ちょっとした買い物にも困りません。

介護福祉士実務者研修とは?

介護業界でキャリアアップを目指す方に必須の資格であり、介護福祉士国家試験の受験資格を得るための重要な研修です。三幸福祉カレッジの実務者研修では、経験豊富な講師陣が丁寧に指導し、実践的なスキルを習得できます。

専門実践教育訓練給付制度

指定の条件を満たすと受講料の80%が戻ってきます。詳細は下記のリンクをご参照ください。

専門実践教育訓練給付制度について-三幸福祉カレッジ

受講を検討中の方へ

この機会にぜひお申し込みください!

📌 お問い合わせ・お申し込みは以下のリンクから
👉 大田区西蒲田(OBC大田ビジネスコミュニティセンター)教室|実務者研修・初任者研修なら三幸福祉カレッジ | 三幸福祉カレッジ
👉 OBC大田ビジネスコミュニティセンターへのアクセス方法

2025年03月07日

東京都委託の公共職業訓練が開講されます!

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターの第1会議室にて東京都委託の公共職業訓練が開講されます。

科目:ゲーム制作を通じて学ぶC#(オンライン)科

特徴:難しいプログラミングを学ぶのも、ゲームを作りながら学ぶので理解しやすいです。

運営会社:キッズロボ合同会社 キッズロボStepスクール

募集期間:令和7年3月5日(水)から令和7年3月18日(火)

応募方法:募集要項や受講資格をご確認のうえ、ハローワーク経由でお申し込みください。

詳細はこちら(パンフレットはOBC内にもございますのでご自由にお持ち帰りください。)

民間教育機関での職業訓練 | TOKYOはたらくネット

なお、この訓練の開講にあたり、OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターは運営会社であるキッズロボ合同会社様にコンサルティングおよび開講に向けた支援を行いました。他の貸し会議室と異なり、各種研修や集客支援も行っておりますので、お気軽にご相談ください。

2025年01月25日

【事例】契約書なしの取引が招いた債権回収トラブルと解決策

 

最近、OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターのお客様で売掛金ができずに相談を受ける事案が相次いでいます。契約書なしで取引を進めた結果、想定外のトラブルに見舞われた事例をもとに、契約書の重要性と取引リスクを軽減する方法について解説します。


はじめに:契約書の重要性

契約書は、取引における双方の権利義務を明確にし、トラブル発生時の法的根拠となる重要な文書です。私が会社勤めしていた際、上司から「契約書とは自分を守るための武器であり盾である。」と教えられました。

しかし、日本の中小企業では、いまだに口約束で取引を進め、トラブルになるケースが多く見られます。本記事では、契約書がないことで発生した2つの事例を紹介し、対策方法を考察します。


事例1:許認可取得代行の未払いトラブル

状況

ある行政書士が許認可取得代行を依頼され、口約束で業務を進めたそうです。業務が完遂し、請求書を送っても依頼主から報酬を支払ってもらえずどうすれば良いでしょうか?という相談がありました。依頼者とは連絡は取れるものの、言い訳を繰り返し支払いを先延ばしにされていたそうです。

解決方法

ヒアリングの結果、相手と連絡がつき、実態のある店舗でビジネスをされているとのことだったので、再度期限を決めて支払い督促し、期日までに支払いがない場合は委任権限に基づき、許認可を取り下げることことを提案しました。また、「許認可を出した行政機関にも報告する」と付け加えるようにアドバイスしました。

結果

今回は相手からの支払いがあり解決しましたが、相談者は債権回収に至るまでの精神的負担が大きかったと言っていました。今後は、契約書や見積書を提示し、支払い条件を明記したり、前金での受注を徹底するようにアドバイスしました。


事例2:商社の夜逃げ債権回収不能

状況

次に、別のレンタルオフィスの会員様から相談を受けた事例を紹介します。相談者は大手企業向けに製品を設計・製作し納品していました。しかし、その大手企業は中小企業と直接取引したがらないことから、大手企業から紹介された商社を経由で取引していたそうです。大手企業からの紹介ということで安心したため、その商社とは何ら契約書を締結せずに数年間取引していたそうです。ところが、その商社が突然夜逃げし、売掛金数百万円を回収不能に陥りました。相談者が商社の事務所を訪問したところ、既にもぬけの殻で、連絡もつかない状況でした。

解決方法

相談者には、商業登記簿を取得して商社の代表者個人の住所に支払い督促の内容証明郵便を送ったり、不法行為により法人と代表者個人を対象とした民事訴訟をすること弁護士に相談してはどうかと提案しました。本人訴訟であれば費用はそれほど掛からないことも伝えました。また、紹介元となった大手企業にも事態を説明するようアドバイスしました。

結果

相談者は、契約書がないことや裁判への抵抗感から債権回収を諦めたそうです。ただ、相談者には仕入れ代金を氏ら払う必要があったため、アルバイトをする事態になりました。


契約書作成のメリット

身近に起きた2つの事例を紹介しましたが、これらに共通するのは、やはり契約書なしに取引を進めてしまったことです。もちろん、契約書があったからと言って売掛金の回収ができる訳ではないですが、契約書があれば法的根拠として支払い督促したり、訴訟で有利になります。更に、支払い遅延の場合のペナルティや代表者個人への連帯保証をつけさせることもできます。また、金額が大きい場合は一部前金にしてもらうという方法もあります。

最も大事なことは、契約書を作成する過程で、自社にどんなリスクがあり、それを回避する方法を考える時間ができることです。これにより、相手が本当に望ましい取引先なのかを見極め、取引上のリスクを低減することができます。


契約書のおかげで訴訟に勝利

自分で契約書を作成するとなると手間や時間が掛かりますし、法律もある程度知らなければなりません。また、弁護士にリーガルチェックを依頼すると費用も掛かります。

ですが、これらの手間や費用を掛けることが自分を守る保険となるのです。実際、OBCでもレンタルオフィスの会費滞納者に対し損害賠償請求訴訟をしましたが、その根拠となるのはやはり契約書です。現在、2件の裁判が終了し、、1件は完全勝訴、もう1件は概ねこちらの主張が認められた形での和解が成立しました。両者とも会費滞納分だけでなく、違約金や延滞利息まで支払うことになりました。これらは契約書に記載があり、合意していたからこそ認められたのです。

継続取引や金額の多い取引、トラブルリスクになると感じた場合、まず契約書の作成から始めることを推奨します。相手が急いでいるとか納期がないからと言った場合でも、しっかり準備をしないと、後でトラブルになるリスクが高いです。代金を払ってもらえず、自分の支払いは猶予されず、弁護士費用まで掛かるとなると、資金に余裕がない場合、会社倒産してしまう恐れがあります。


まとめ

契約書は、トラブルを未然に防ぎ、万が一の際に自社を守る強力なツールです。特に継続取引や金額の大きい案件では、契約書を作成する時間を惜しまず、リスクを軽減するための準備を徹底しましょう。また、費用が掛かっても信頼できる弁護士を探し、リーガルチェックを依頼することを推奨します。第三者の意見や法的根拠に基づく強い契約書を作成して貰えます。

ご契約は慎重に!