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2024年07月13日

良いコンサルタントの見つけ方

会社経営を行う上で、専門家やコンサルタントの協力や支援が必要となる場面があります。しかし、コンサルティング業務は見積もりだけでは実力を測ることが難しく、報酬が高いと感じることも多いです。私の経験では、高額な報酬を払っても何もしてくれなかった弁護士や税理士、良心的な報酬で親身に対応してくれた弁護士や司法書士、安かろう悪かろうだった税理士など、多くの当たり外れを経験しました。そこで今回は、これらの経験を基に、良いコンサルタントの見つけ方を紹介します。

1. レスポンスが早い

どんなビジネスにおいても共通ですが、レスポンスが遅い人で良い仕事ができる人に出会ったことがありません。忙しくてレスポンスが遅い場合、効率やスケジュール管理が悪い証拠です。即答できなくても、いつまでに回答するかを伝えることができるかどうかで、コンサルタントの実力を見極めることができます。

2. 実績件数以外にもPRしている

「何千人と面談しました」「何百社とコンサルティングしました」といった件数のみを宣伝するコンサルタントは実力がないことが多いです。本腰を入れてコンサルティングしていると、年に数件がやっとです。専任であれば年に1件の場合もあります。コンサルティングの件数だけでなく、実際の中身を聞いて判断する必要があります。また、「長期契約の経験はありますか?」といった質問をすることで、コンサルタントの実績を確認することが必要です。

3. 成功報酬で仕事を受けてもらえる

実力のあるコンサルタントなら、成功報酬でも仕事を受けるはずです。逆に、月額顧問料のみの長期間契約かつ途中解約不可という条件であれば、そのコンサルタントへの依頼は避けるべきです。

私がコンサルタントとして仕事を受ける場合、基本的に成功報酬です。その分報酬が高くなりますので、報酬を抑えたい依頼者様には月額固定報酬+成功報酬を推奨しています。そして、いつでも途中解約可能という条件を提示していますが、実際に途中解約になったことは一度もありません。

4. 報酬の適切性

仕事がない・実力がないコンサルタントは、相場に比べて著しく低額であったり、専門外の案件でも引き受けようとします。特に新人コンサルタントに多い特徴です。安いと感じた場合は、「どうしてこれほど安いのでしょうか?」と報酬の根拠を確認することが重要です。

なお、OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターのレンタルオフィス会員様には無料もしくは破格でコンサルティングをお受けしています。これは、起業家育成支援という考えと、気軽に相談できる相手がいなくて困っているという実情があるからです。

5. 固定電話と事務所はあった方が良い

レンタルオフィスの経営者としてこのようなことを言うのはおかしいのですが、実力のあるコンサルタントは自分の事務所を構え、固定電話を持っています。携帯電話の番号だけしか掲載されていないコンサルタントは実力がないと言えます。これは携帯電話だけの場合、急な電話には対応する必要がありますので、クライアントの仕事が疎かになりがちです。報酬を払う側からすれば、しっかり仕事をして欲しいと思うのは当然のことです。

まとめ

上記のポイントに注意しても必ず良いコンサルタントに当たるとは限りませんが、外れを引く確率は低くなります。質の低いコンサルタントを避け、信頼できるコンサルタントとパートナーシップを築くことが、ビジネス成功の秘訣であるといえます。



2024年07月10日

会社の寿命は思ったよりも短いです。

会員様企業の状況

レンタルオフィスを経営していますと、多くの会員様が入会し、そして退会されます。理想としては事業規模の拡大による卒業退会が増えて欲しいのですが、残念ながら、ほとんどの会員様は事業が行き詰まり、廃業によって退会しています。特に法人設立後3~5年での退会が多い印象です。ここ数年はコロナ禍により給付金や無利息での借入が容易でしたが、現在はそれらの支援もなくなり、円安や物価高によるコストアップが避けられず、経営の厳しい会社が増えているように感じます。

私がOBC大田ビジネスコミュニティーセンターを事業譲受したのが2022年2月ということもあり、まだ半数以上の会員様と対面したことがありません。初めて直接受けた連絡が「廃業するので退会したい」ということもありました。退会理由は、やはり経営難というのがほとんどでした。もっと早くご相談いただければ、何らかの支援ができたのにと悔やむこともあります。

経営支援の重要性

OBCでは、会員様の自主性を重んじ、支援を希望される会員様にしか対応しない方針です。しかし、お困りごとがございましたら、一人で抱え込まず、外部に相談できる関係を築くことも経営者の重要な仕事の一つだと思っています。私たちは、会員様が安心してビジネスを続けられるよう、さまざまな支援を提供しています。

成功事例のご紹介

実際に私と共にビジネスを行ったり、コンサルタントとして支援すると、うまくいった・業績改善したという反響がとても多いです。リソースが限られておりますので、案件によってはお断りする場合もございますが、内容によっては破格の報酬でお受けすることもあります。ここでは、いくつかの成功事例をご紹介いたします。

事例1:スタートアップの成長支援

あるスタートアップ企業は、設立後すぐに顧客不足や資金繰りに苦しんでいました。経営者様からの相談を受け、私は資金調達のための事業計画の作成支援や経費削減のアドバイスを提供しました。また、マーケティング戦略の見直しも行い、結果として売上が大幅に増加し、経営が安定しました。現在、その企業はさらに成長を続けています。

事例2:中小企業の業績改善

もう一つの事例として、大田区内の町工場の業績改善があります。この企業は長年の経営難に苦しんでいましたが、私のアドバイスを受け、業務プロセスの効率化と品質管理体制の構築、新規顧客の開拓に成功しました。特に、改善活動の成果が上がるにつれ、現場のモチベーションも上がり、依頼者の社長様から、「最近、現場が変わってきた」とお褒め頂いたことがあります。

早期相談の重要性

これらの成功事例からも分かるように、経営に行き詰まった際には早めに相談することが非常に重要です。問題が大きくなる前に対策を講じることで、事業の継続や成長が可能になります。OBC大田ビジネスコミュニティーセンターでは、会員様の成功をサポートするための各種サービスを提供していますので、ぜひご活用ください。

最後に

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターは、会員様の成功を第一に考え、さまざまな支援を行っています。お困りごとや相談がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。私たちは、皆様のビジネスが成長し続けるよう、全力でサポートいたします。

2024年06月27日

業務改善の進め方(4)なぜなぜ分析の注意点

なぜなぜ分析の注意点

OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターの運営会社では業務改善のコンサルティングも行っています。レンタルオフィス会員様だけでなく、外部のクライアントにもサービスを提供しております。

業務改善を検討する際に「なぜなぜ分析」というキーワードを耳にすることが多いでしょう。これはトヨタ自動車が現場改善の手法として用いている方法で、問題の本質を見極めるために「なぜ」を5回繰り返すというものです。

しかし、最近ではこの手法が誤った方法で用いられることが多く、また効果が出ない場合もあるため、注意点をいくつか紹介します。

なぜなぜ分析を部下に対して行ってはならない

まず、なぜなぜ分析は問題の本質を見極めるために行うものであり、部下に対して行うものではありません。これを部下に対して行うと、明らかにパワハラに該当します。

実は、15年ほど前に私自身が当時の上司からなぜを5回繰り返され、非常につらい思いをした経験があります。会話の中で何度も「なぜ」を繰り返されると、回答をじっくり考える時間がなくなり、最終的には「わかりません」や「すいません」という回答しかできなくなり、分析どころではありませんでした。

そこで、私の場合、部下が失敗やトラブルを起こした際には、「なぜ?」と一度だけ質問し、その後「ではどうする?」と対策案を聞くようにしています。これにより部下を追い詰めることなく、彼らが自ら考えた対策案を採用することで、挽回のチャンスを与えています。もちろん、対策案を承認する際には再失敗のリスクを減らすため、慎重に判断しています。

なぜなぜ分析を自分に行ってはならない

同様に、自分自身に対してなぜなぜ分析を行うことも避けるべきです。ミスを全て自分のせいにすると、精神的に追い詰められることがあります。特に経営者は孤独な立場であるため、自己嫌悪に陥ると事業運営に支障をきたす可能性があります。

なぜなぜ分析の対象は仕組みや現象に対して行う

なぜなぜ分析の目的は問題の本質を見極めることです。そのため、対象は仕組みや現象に対して行うべきです。例えば、品質不良が生じた場合、以下のような流れで分析します:

  1. なぜ品質不良が生じるのか? → 加工精度が悪いから。
  2. なぜ加工精度が悪いのか? → 機械をメンテナンスできていないから。
  3. なぜメンテナンスできないのか? → 生産が忙しく機械を止められないから。
  4. なぜ生産が忙しいのか? → 歩留まりが低いから。
  5. なぜ歩留まりが低いのか? → 要求精度が厳しいから。

このようにして、最終的に「要求精度を見直そう」といった結論に至ります。しかし、この例でも見られるように、分析はもっと多面的に掘り下げる必要があります。例えば、品質不良が生じた段階で、要求精度の妥当性や設計の見直し、製造方法の改善など、考慮すべき点はたくさんあります。

なぜなぜ分析を通じて深掘りすることは重要ですが、同時に原因を多面的に分析することが大切なのです。

2024年05月31日

業務改善の進め方(3)データ分析の重要性と方法

業務改善に欠かせないデータ分析の重要性と方法

業務改善において欠かせないのは、課題の把握と改善前後の効果検証です。そのためには、データ分析が重要な役割を果たします。しかし、小規模な企業では、日常業務に追われてデータベース自体がなかったり、データ分析にまで手が回っていないことが多いです。そこで、今回はデータ分析の方法について解説します。

データ分析の重要性と初めのステップ

会社を経営する上で、売上や経費の記帳は必須です。しかし、決算の時だけ行う会社も少なくありません。これでは、タイムリーなデータ分析ができません。まずは、毎月の財務データ入力を習慣化することが重要です。これらは会計事務所に依頼しても構いませんが、小規模な企業では自分で入力した方が経費の無駄や資金繰りを把握しやすいです。

データベースの作成とデータの蓄積

次に、売上や原価などの財務データと、それ以外のデータを蓄積してデータベースを構築します。Excelなどの表計算ソフトを使用すれば十分であり、特別なソフトを導入する必要はありません。財務データ以外には、来客数や販売個数、利用時間、電気やガスの使用量などが含まれます。現時点でデータ分析に必要がないと思われるデータでも、後から役に立つことがあるので、可能な限りすべてのデータをデータベースに入力することをお勧めします。これらのデータを一元管理することで、分析が容易になります。

データ分析方法

次に、データ分析の方法について説明します。まずは月ごとの推移を見ていきます。売上や原価などのデータは会計ソフトでグラフ化できますが、会計ソフトに入力しないデータと財務データの関係はExcelで作成したデータベースで分析する必要があります。

例えば、電力使用量について考えてみましょう。冷暖房の使用頻度が上がると、電力使用量も増えて電気代が上がります。しかし、電力単価も変動するため、金額だけを見ても電気代の増減理由は分かりません。そこで、電力使用量を前月や前年同期と比較したり、販売数量や稼働日数と電力使用量の関係をグラフ化することで、より詳細なデータ分析が可能になります。

このように分析することで、例えばエアコンや冷蔵庫の故障による電力使用量の増加など、真の原因を特定できる場合があります。

【事例】OBCでのデータベース作成と分析

次に私が行ったデータ分析の事例を紹介します。

まず、2022年2月にOBCを事業譲受した際、データベースは引き継ぎませんでした(もともとなかったのかもしれません)。そこで、最初に貸し会議室のデータベースを作成しました。データベースには、利用者名、施設、利用日時、売上、特記事項などを記録しています。これにより、会議室の稼働率や会員と一般のお客様の利用頻度などが容易に把握できるようになりました。

次に、数か月データを蓄積して売上の傾向が掴めるようになった段階で、会議室料金体系の変更しました。事業譲受の時点でOBCの貸し会議室の料金は6つの体系に分かれておりましたが、データ分析の結果に基づき、安い方に合わせて4つの体系に統合しました。その結果、値下げしたにも関わらず、売上はほとんど減少しませんでした(本当は増えて欲しかったですが…)。この理由としては、値下げにより利用時間が増えたことや、元々、利用されていなかったということが考えられます。これらもデータベースから会議室の稼働率を調べることで原因を追究し、例えば、プロジェクターなどの備品の無料化や内装の変更などでサービスの向上を図りました。

また、料金体系がわかりやすくなることで、運営管理が容易になった上にお客様も料金体系を理解しやすくなりました。これにより、双方にとってメリットが生じました。

まとめ

データ分析の重要性は、企業の経営判断や業務改善において欠かせない要素です。日々のデータを蓄積し、定期的に分析することで、売上や経費の動向を把握し、効率的な経営が可能となります。OBCの事例では、データベースの構築と分析により、料金体系の見直しやサービス向上を実現し、売上を維持しつつ顧客満足度を向上させました。このように、地道なデータ蓄積と継続的な分析が、経営の質を高める鍵となります。日常業務に追われがちな中小企業でも、表計算ソフトを活用することで、データの一元管理と有効活用が可能です。データ分析を積極的に取り入れ、経営判断の精度を高めましょう。

2024年05月04日

地方企業の東京進出支援します。

 東京都大田区には羽田空港があり、蒲田駅から品川駅まで行くと新幹線に乗ることができ、交通の便がとても良いです。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターには、九州の企業が東京の営業拠点としてご利用されていますが、この度、北海道の企業が営業拠点としてレンタルオフィス会員として入会されました。

 入会審査の時にお話を伺ったところ、新製品を販売しているが、地元では保守的で無料の試供品を提供しても試してくれない。また、これから海外への販売も考えているが、地元には相談や支援をしてくれる団体や機関がなく、どうすれば良いか困っていた、ということでした。そこで、OBCの概要や支援内容についてご説明したところ早速ご入会して頂きました。

 大田区は中小企業向けの支援制度が充実しており、商工会議所や大田区産業振興協会による無料相談が受けられます。また一定の要件を満たすと融資を受ける際に利子補給の制度もあります。

 ですが、公的機関の支援制度だけは満足の行く解決策を見出すことができないと思います。特に無料相談は私も試しに利用しましたが、その場限りの相談で終わってしまったり、専門家派遣制度を利用して営業・販売が得意な中小企業診断士に貸し会議室の営業戦略について相談しましたが、「DM送りましょう・テレアポしましょう」程度のアドバイスしか受けられませんでした。結局、相手のビジネスや内容を理解するまでには時間が掛かりますし、ちょっと打合せしただけで思い付いたアドバイスはほとんど役に立ちませんでした。実際、私自身が単発のコンサルティングを受けないのもそのような理由からですが、他の専門家と呼ばれる方にも過度な期待をしない方が賢明です。

 OBCでは、有人対応の強みを活かし、会員様への相談・支援も行っております。レンタルオフィス会員として入会されると、何度でも無料で経営相談を受けられます。単発のコンサルティングではないので、試行錯誤を繰り返しながらビジネスを発展させていくことができます。また、私自身が起業直後から海外との取引を行っており、契約書の作成から見積、請求、代金回収まで経験しているので海外案件のご相談もお受けできます。更に、提携している士業や専門家の方も多いので、私が対応できない案件でもご紹介することで課題解決に寄与できます。

 実際の事例としては、開業のため格安でホームページを作成できる会員様を他の会員様に紹介したり、公的職業訓練の運営の際に必要なキャリアコンサルタントを会員様に紹介したことがあります。事前に充分にヒアリングした上で、双方メリットがあると判断した場合のみご紹介しますので、スムーズにいくことがほとんどです。

 このようなOBCのサービスを利用して起業や地方企業の東京進出を目指してはいかがでしょうか。いずれは海外進出も視野にビジネスを共に発展させていきましょう!

 

2024年04月24日

人件費はコストではなく付加価値である。

 人件費とは、給料や社会保険料などを指し、会計上の費用です。しかし、これを単なるコストとして捉えると、経営者は削減を目指すことになり、社員のモチベーション低下や長期的な成長に影響が出るかもしれません。

 この問題の一因は、売上高営業利益率(ROS)という業績評価方法にあります。一般に、ROSが高いことが株主にとって良い指標とされ、営業利益は人件費次第で調整可能なため、人件費を削減することでROSが上がります。

 たとえば、A社とB社が同じ売上だと仮定します。A社は低い給料を支払いROSが高く、B社は高い給料を支払いROSが低いとします。ここで、どちらが良い会社かという疑問が生じます。株主にとってはA社が良いかもしれませんが、社員にとってはB社です。しかし、社員の満足度が低い会社が将来的に成長していくのでしょうか?

 そこで、付加価値額という別の評価手法があります。これは、営業利益に人件費と減価償却費を加えたもので、企業の評価として妥当性が高いと考えられます。付加価値額を従業員数で割った労働生産性も重要な指標です(付加価値額は賃借料や租税公課を加える場合もあります)。

 経営者はどちらの指標を見ながら経営すべきか考える必要があります。上場企業の経営者はROSを重視しますが、特に小規模企業では付加価値額の方が重要であると考えます。そのためには、営業利益、人件費、設備投資などのバランスを考えつつ、社員の満足度を高めていく必要があります。

 また、人件費は広告宣伝費とも考えられます。社員の待遇が悪いと会社の評判が悪くなり、業績に影響が出る可能性があります。逆に、待遇の良い企業では社員のモチベーションが高まり、業績UPに寄与します。

 最近では、労働条件に虚偽を提示する企業もあります(猫の液体フードや缶詰を作っている会社のことです)。その結果、社員のモチベーション低下や品質管理上の問題が発生する可能性があります。経営者が人件費をコストとして認識することが、こうした問題の一因と考えられます。

 まとめますと、私自身の会社経営や社外にコンサルティングを行う際には、経営者が人件費を付加価値として捉え、社員の給料増加に焦点を当てることが重要だと考えています。人件費を単なるコストとして捉えると、将来的に痛い目に遭う可能性が高いとも言えますね。

  

2024年04月17日

小さな会社の社長の “しない” 営業戦略

 OBCのレンタルオフィス会員様は他からの移転で入会されることもありますが、やはりサラリーマンを辞めて、独立・起業される方が多いです。その中で、開業当初にお客様を確保することができず、軌道に乗るまで苦労される会員様が多いのが実態です。そして、一部の会員様は自分ではどうにもできなくなって、私に相談・助言を求められることがあります。私がアドバイスした事例を紹介しながら、営業戦略の参考になれば幸いです。なお、これは業種や置かれた状況により、全ての会社に当てはまる訳ではないですし、場合によっては全く逆のアドバイスをする可能性もありますのでご承知おきください。

1.安売りするな

 私も最初はそうでしたが、開業直後は仕事がないので、どうしても値段を安く設定し”薄利多売”で仕事を取ろうします。しかし、安く受注したところで、それが継続・安定して受注につながるとは限りませんし、多くの場合、“薄利少売”になってしまっているようです(単発で終わることが多い)。この方法では事業継続が困難になりますので、絶対におすすめしません(安くしたい気持ちは十分わかりますが…)。そこで、まずはお客様と商談の段階まで持っていき、「いくらならご発注頂けますか?」とか、「ご予算はどれくらいでしょうか?」と聞いています。そこで、「まずはそちらから最初に料金を開示して欲しい」と言われたら、ちょっと高めの見積を出します。その時に、「予算が合わなければご相談ください。」と付け加えることも忘れないでください。そこからが勝負で、値引き要請があれば、「いくら値引きすればご発注頂けますか?」と聞いてみます。そして、双方予算が合えば「今回だけのお試し・限定価格です」と言って受注すればよいのです。
 薄利多売は大手企業の戦略で開業当初の1人会社が取るべき戦略でないです。どうしても薄利多売をする必要があるなら、顧問契約やサブスクのような定期的に収益が上がるビジネスモデルに転換しないと早晩行き詰ります。

 なお、これには例外があります。特に海外の顧客で、いくら安い値段で出しても、必ず高いと言ってくる人がいます。それは値引き要請ではなく、相手にこちらの要求を飲ませたという優越感に浸りたい性格の人がいます。特に隣国の方で、このようなビジネススタイルの方が多いので要注意です。その場合は、単純にお断りすれば良いのです。相手が本当に欲しいなら、いったん断っても交渉は再開されますのでご安心ください。

2.なんでもするな

 これも1番目のアドバイス関連しますが、とにかく最初は売れないので、なんでもやります!と言ってしまう人が多いです。ですが、発注側の気持ちを考えてみてください。独立直後で実績もない会社に何かを発注するということは、それだけでリスクがあるのです。品質やサービスレベルが不明であり、納期通りに対応してもらえる保証が何もありません。

 過去に、私が超大手企業と取引したときは契約段階で3年分の決算書を出すように言われたことがあります。その時は先方から取引したいとのことだったので、1期目でまだ決算書もないと伝えたところ、決算書の提出なしでも取引できました。 逆に考えると、その会社は実績のない会社とは取引しないという方針だったようですが、私はある分野で専門性に特化していたので契約に至りました。
 やはり自分の得意分野・専門領域で差別化して営業していかないと受注は到底難しいです。まずは自分が得意分野で経験と実績を積み上げるまで、なんでもやってはいけないのです。例えて言うなら、1人会社の社長はスーパーマーケットやコンビニではなく、専門店を目指す必要があるのです。

3.売るな

 これはちょっと驚かれるかもしれませんが、開業してからすぐに消費やサービスを売っては行けないのです。よく、「〇〇の資格を取って独立したので、仕事ください!」という方がいますが、これは最もダメな営業行為です。仕事に飢えている経営者に仕事は回ってきません(異性に飢えている人が恋人ができないのと同じですね)。受注したい気持ちが先走って安値で受注してしまい利益が出ないどころか赤字になってしまったり、手に負えない仕事を受注してしまって、顧客を満足させることができず信頼を失うことすらあります。
 まずは、自分の商品やサービスを売るのではなく、相手を豊かにすることを考えて欲しいのです。Give and Takeや費用対効果という言葉も先に出費し、後から回収するのです。逆ではありません。具体的な営業方法として、まず見込み客を見つけたら、自分の仕事は後から貰えると信じて、相手の利益になることを真剣に考え、提案するのです。例えば、相手の話を聞いて、そのニーズに応じてお客様や専門家を紹介するとか、困っていることを解決してあげるなどです。その人から仕事を貰えるとは限りませんが、回りまわっていつか仕事がやって来ます。

4.焦るな

 営業は魚釣りをやっている感覚に似ています。まずは道具を準備し、適切なタイミングで、針にエサをつけて海の中に入れたら、後は辛抱強く待つ必要があります(ただ、待ち過ぎてもエサだけなくなっていたということもありますので、どこかで確認するのも大事です)。例えば、見積を出しても連絡がない場合は、こちらから電話してみるのが良いです(メールではなく、敢えて電話してください)。担当者から今どういう状況か、もう他に発注されてしまったのか、なぜ受注できなかったのかなどを聞くには電話の方が良いのです。そうして次回の営業活動にフィードバックしていくことで受注確度を高められます。

 また、案件が進まないときは戦略的に敢えて断ることも有効です。例えば、「見積有効期限が過ぎています」とか「他の案件を受注したので忙しい」などと言って一旦断ると、顧客が本当に発注する気があるなら「再度見積を出して欲しい」とか「〇〇までに発注する」などと言ってきます。逆に何もなければ、これ以上その案件を追う必要がなくなりますので気持ちを切り替えることができます。

 これも私の体験談ですが、5年前にドバイの展示会でたまたま知り合ったイタリア人社長から、日本に現地法人があるから帰国したら遊びに来いと言われたことがあります。帰国後すぐにアポを取って営業プレゼンに行きました。その時は特に仕事の発注もなく、コロナ禍中にそのイタリア人社長も帰国し、日本人の社長に代替わりしていました。ただ、そこの社員が私のことを覚えていてくれたようで、今年になって、新しい日本人社長と面談し、結果的には高額なコンサル案件を受注できました。その間特に営業活動はしていなかったのですが、5年間釣竿を海に入れていた状態だったのかもしれません。

 その他にもまだまだ営業戦略(というより手法とか戦術でしたね。)はあります。このようなコンサルティング業務はまず相談者様からのお話をよく聞いて、何が最適なアドバイスを考え、時間を掛けて議論しながらそのアドバイスをブラッシュアップしていきます。ですので、無償で行うことはできませんが、ご満足される相談者様がほとんどです。

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