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2024年05月17日

業務改善の進め方(2)EXCELを活用した定例事務作業の効率化

前回に続き、多くの企業で周期的に発生する事務作業、例えば請求書の発行や取引先へのメール連絡の改善について考えます。

まず前提として、定例作業はEXCELで対応できることが多いため、次の方針で改善を行います。

  • 新たな有料システム導入はしない
  • 修正できる人が限られるためマクロは使わない
  • なるべく簡単な操作性を追求する

1.請求書発行業務の効率化

取引先の少ない企業やレンタルオフィスに入会されているスタートアップ企業では、特別な請求書発行システムを導入せず、メールまたは郵送で請求書を発行していることが多いと思います。ここでは、請求書をメール添付で送信する作業を効率化した事例を紹介します。

メール送信の基本的な手順は次の通りです。

  1. 宛先・件名・本文を入力
  2. 添付ファイルを添付
  3. 送信

日付や宛先を除き、毎月同じ内容となることが多いので、これらをEXCELで自動化します。以下はメールの参考例です。


【宛先】:AAA@****
【CC】:BBB@****
【件名】:X月分の請求書を送付します。

【本文】
AAA様
いつもお世話になっております。
X月分の請求書を送付致します。
以上、取り急ぎご連絡まで

【メーラー側で設定する署名】

【添付ファイル】

この例では、AAA様、BBB様、X月と添付ファイル以外は全く同じ内容になります。これをEXCELのHyperlink関数を使って自動化します。

例えば、セルA1にメールアドレスが入力されている場合、=HYPERLINK("mailto"&A1)と入力すると、A1のメールアドレスがメーラーの送信先に自動で追加されます。そのほかの入力についてはご自身でお調べ下さい。

2.ファイル名変更の効率化

請求書作成をEXCELで行っている場合、この作業も効率化できます。弊社では次の流れで請求書を作成・発行しています。

  1. 請求書に金額・日付等を入力
  2. 請求書を印刷し、押印 or 電子印鑑を利用
  3. 請求書の内容を紙でチェック
  4. 請求書をまとめてスキャンしPDF化(1つのファイルとして生成)
  5. ファイルをページごとに分割(フリーソフト利用)
  6. ファイル名を一括で変換
  7. メールに添付し送信

特に手間だったのがスキャンしてファイル名を変更する作業でした。従来は請求書を1枚ずつスキャンし、ファイル名を手作業で変更していましたが、非効率でミスも発生しやすい状態でした。

そこで、EXCELに変更前のファイル名と変更後のファイル名を入力し、一括で変更できるようにしました。以下はその大まかな流れです。

  1. PDFを分割できる商用利用可能なフリーソフトpdf_asでスキャンデータを分割
  2. フォルダのアドレス欄に「cmd」と入力し、コマンドプロンプト(黒い画面)を表示
  3. コマンドプロンプトにdir/b |clipと入力しEnter
  4. クリップボード内のファイル名をEXCELに貼り付け(例:セルA1)
  5. 変更後のファイル名をセルA2に入力
  6. セルA3に=ren&" "&A1&" "&A2という数式を作成し変換コマンドを作成
  7. コマンドプロンプトに貼り付けてEnterを押すとファイル名が変更

この方法で、複数のデータでも一括で変更でき、大幅な時間短縮が可能です。ただし、スキャンした請求書の順番と変更するファイル名の順番を合わせる必要があります。また、コマンドプロンプトを使う際にはファイル名には禁則文字がありますので注意してください。

まとめ

EXCELを使った業務効率化は追加費用がかからず、社内で作成・カスタマイズも容易ですのでぜひご活用ください。どうしてもわからない場合や、導入したい場合は弊社のお問合せフォームよりご相談ください。但し有償のコンサルティング契約が必要となります。

2024年05月08日

業務改善の進め方(1)手書き業務をなくす

 経営コンサルティング業務において、業務改善をしたいがどこから手をつければいいのかわからないという質問を受けることがあります。その場合、そもそも経営者様自身が現状を把握できていないことが多く、まずは現状分析から始めましょうとアドバイスしています。このような提案をしても、分析に時間を掛けたくないとか、会社のことはよくわかっているなどという経営者様もいます。そうした場合、まず小さな改善活動から始めて、その成果を社内で共有しましょうと提案しています。そこで一番手っ取り早く目に見える業務改善は、まず手書き業務を減らすことです。なぜか未だに多くの企業で手書きの業務が残っており、非効率な業務の最たるものであると考えています。

 では、手書き業務が残っている原因は何でしょうか?一般的な理由は、社員がパソコンを使えない・覚えようとしない、手書きの方が早いと考えている、これまでのやり方に慣れている、などが挙げられます。これらは合理的なできない理由ではありません。このような状況の企業こそ手書き業務の廃止が業務改善の第一歩となります。

 実際の業務改善はECRSの原則に則り行います。

  1. Eliminate(排除):その業務自体を無くせないか?
  2. Combine(連結):その業務を他の業務とまとめられないか?
  3. Rearrange(再配置):業務手順を見直して効率化できないか?
  4. Simplfy(単純化):その業務をシンプルにできないか?

 ECRSの原則は順番が重要であり、まず最初に、その業務自体を無くせないかを考えます。今回の手書き業務の廃止においては、そもそもなぜ手書きだったのか?、その必要性を再評価します。よく考えてみると、その手書き業務自体が不要な場合も多いのです。

 他社の事例は公開しづらいので、私自身が行った改善事例を紹介します。私がOBC 大田ビジネスコミュニティーセンターの事業を継承したとき、手書きの事務作業がとても多く残っていました。例えば、会議室の予約管理、レンタルオフィス会員様向けの郵便物の転送対応、コピー利用部数の集計、封書の宛名書きなどです。当時のパート社員がそれらの手書き業務に多くの時間を費やされ、ミスも多発し極めて非効率な運営状態でした。更に、会議室の予約管理は手書きとパソコンで2重にデータ管理していたため、データの不一致も多く、どちらが正しいか都度検証しなければならない状態でした。

 そこで、手書き業務を可能な限り廃止することにしました。手書きをしてよいものは、変更や修正が多く、記録として残す必要がないものだけに限定しました。例えば、郵便物の受取記録はスマホで写真を撮る、会議室の手書き予約表は廃止しGoogleカレンダーのみで管理、コピー部数の集計はExcelで集計、封書の宛名はラベル印刷に変更しました。その結果、手書き業務はほとんどなくなり、事務作業のスピードが上がり、ミスも減って著しい効率化を図ることができました。

 また、月初の集計業務を効率化され、従来は請求書の発行に10日掛かっていたものが、わずか1日に短縮できました。もちろん、この間にExcelの入力シートを改善して集計しやすくしたり、入力箇所自体を減らすことも併せて行っていました。

 このような業務改善は社内の人間だけで行おうとしても、なかなか進まないことが多いです。社員は上司の指示に従い、今まで通りの仕事をしたがりますし、減点方式で評価されることが多いのでミスするリスクを冒してまで業務改善には取り組みたがらないのです。

 そこで、外部コンサルタントの活用が有効です。コンサルタントへの報酬は社内人材よりも高額であり、一時的には大きな支出となりますが、、業務プロセスの改善効果は契約終了後も持続します。

 

2024年05月04日

地方企業の東京進出支援します。

 東京都大田区には羽田空港があり、蒲田駅から品川駅まで行くと新幹線に乗ることができ、交通の便がとても良いです。OBC 大田ビジネスコミュニティーセンターには、九州の企業が東京の営業拠点としてご利用されていますが、この度、北海道の企業が営業拠点としてレンタルオフィス会員として入会されました。

 入会審査の時にお話を伺ったところ、新製品を販売しているが、地元では保守的で無料の試供品を提供しても試してくれない。また、これから海外への販売も考えているが、地元には相談や支援をしてくれる団体や機関がなく、どうすれば良いか困っていた、ということでした。そこで、OBCの概要や支援内容についてご説明したところ早速ご入会して頂きました。

 大田区は中小企業向けの支援制度が充実しており、商工会議所や大田区産業振興協会による無料相談が受けられます。また一定の要件を満たすと融資を受ける際に利子補給の制度もあります。

 ですが、公的機関の支援制度だけは満足の行く解決策を見出すことができないと思います。特に無料相談は私も試しに利用しましたが、その場限りの相談で終わってしまったり、専門家派遣制度を利用して営業・販売が得意な中小企業診断士に貸し会議室の営業戦略について相談しましたが、「DM送りましょう・テレアポしましょう」程度のアドバイスしか受けられませんでした。結局、相手のビジネスや内容を理解するまでには時間が掛かりますし、ちょっと打合せしただけで思い付いたアドバイスはほとんど役に立ちませんでした。実際、私自身が単発のコンサルティングを受けないのもそのような理由からですが、他の専門家と呼ばれる方にも過度な期待をしない方が賢明です。

 OBCでは、有人対応の強みを活かし、会員様への相談・支援も行っております。レンタルオフィス会員として入会されると、何度でも無料で経営相談を受けられます。単発のコンサルティングではないので、試行錯誤を繰り返しながらビジネスを発展させていくことができます。また、私自身が起業直後から海外との取引を行っており、契約書の作成から見積、請求、代金回収まで経験しているので海外案件のご相談もお受けできます。更に、提携している士業や専門家の方も多いので、私が対応できない案件でもご紹介することで課題解決に寄与できます。

 実際の事例としては、開業のため格安でホームページを作成できる会員様を他の会員様に紹介したり、公的職業訓練の運営の際に必要なキャリアコンサルタントを会員様に紹介したことがあります。事前に充分にヒアリングした上で、双方メリットがあると判断した場合のみご紹介しますので、スムーズにいくことがほとんどです。

 このようなOBCのサービスを利用して起業や地方企業の東京進出を目指してはいかがでしょうか。いずれは海外進出も視野にビジネスを共に発展させていきましょう!

 

2024年04月27日

GWはドールハウス製作でも如何でしょうか?

 今日からゴールデンウィークに入られる方も多いと思います。火曜日から3日休むと10連休ですが、経営者になるとなかなか休めないですね。月初に請求書の作成もありますし。まぁ、混んでいる祝日に仕事をして、空いている平日に休むことができるのも経営者の特権と言えば特権ですが...

 さて、GWと言えば旅行や観光、帰省など移動を伴う行事が多いですが、 私が日本にいるときは超が付くほどのインドア派で、国内旅行はほとんどしたことがありません。海外旅行は35ヵ国を行きましたが、コロナ禍から記録が止まっています。今年のGWはどこにも行く予定がありませんので、自宅で模型製作をする予定です。

 今回は固いビジネスのお話は中断して、OBCに展示してあるドールハウスのご紹介です。貸し会議室というのはどこか無機質で殺風景なイメージがあったので、昨年よりドールハウスを製作しておりました。現在、4作品が完成しており、OBC内に何個か展示してあります。

 いずれもAMAZONで購入したものを自分で組み立てました。説明書は簡単な英語なので全く問題ありませんでしたが、ドールハウスはプラモデルとは違って、紙や木の部品が多く、MDF板に紙を接着しようとすると水分で反ったり、しわができるのでその修正に苦労しました。また、部品の取り付け位置が不明確だったり、不足部品もあってかなり大変な作業でした(対象年齢14歳以上とか書いてありますが、その年齢ではなかなか厳しいと思います。)また、スマホ老眼との闘いで、拡大鏡を使用しながら作業しましたので肩こりがひどかったです。

 製作期間は仕事の合間を縫ってOBCの第2会議室で1日2時間ぐらい作業し、1つの作品を完成させるのに2~3週間かかりました。4つのキット全てにLEDの電飾が付属していましたので、夜に照明を消してLEDを点灯させると幻想的な空間が生まれて癒されます。また、写真1の右から2番目の花屋さんとホテルのキットにはオルゴールも付属しており、きれいな音楽を奏でます。キットは大きさにもよりますが1つ5,000円前後です。製作に必要な道具ははさみやカッターナイフとカッターマット、ピンセットに接着剤、それと爪楊枝ぐらいです。道具は100均やホームセンターで全て揃いますし、キットと合わせても1万円ぐらいですので、趣味としては安いと思います。

 展示場所は3階の第2会議室入口手前に2個ほど展示しております。作品への反響ですが、やはり興味を持たれるお子様や女性の方が多いですね。オルゴールを鳴らしたり、LEDを点灯させると喜んでくれます。また、男性の方でもちょっと足を止めて見て頂いているようで、会議の合間の息抜きになれば幸いです。現在、新規の製作はおこなっておりませんが、ご要望があったり、気がむいたら再開したいと思います。

 普段はアクリルケースの中に入れてありますが、もし、もっと近くでご覧になりたい、LEDを点灯した状態でご覧になれたいなど、ご要望のある方はOBC受付までご連絡ください。また、実際に作ってみたいという方はキットの選び方や製作に関するアドバイス、道具の使い方などもご指導いたします。また、途中まで製作して断念したという方でも対応致しますので、お気軽にご相談ください。

 模型作りに器用とか不器用なのは関係ありませんし、歳をとっても続けられる趣味ですので、この機会に興味を持って頂けますと幸いです。

 写真1 全4作品(現在、新規製作は一時中断しています。)

写真2 魔法の杖のお店(ハリー〇ッターのようです。)

写真3 お店の内部

写真4 LED点灯状態

写真5 ホテルと花屋さんの夜。幻想的です♪

2024年04月26日

【習い事運営者必見!】貸し会議室を利用したビジネス

 OBCの貸し会議室の特徴ですが、お子様の習い事での利用がとても多いです。月に50~80名近くのお子様が会議室で開催される習い事に通ってきます。延べ人数ではありませんので、延べ人数にすると月に200名以上となります。また、習い事を運営されている会社様に対しては、時間帯によっては保護者様よる送迎をお願いしていますので、習い事の開始前後ではビルを囲むように保護者様が待っておられます。これだけでも潜在的な広告宣伝の効果があります。

 また、OBCのレンタルオフィスの会員様の息子さんが弊社の貸し会議室で開催されている習い事に通っているのですが、その方より、「習い事が1時間なので送迎が大変」と聞きました。確かに1時間では一度帰宅してもすぐに戻る必要がありますし、かと言ってただ待つには長く、節約志向の中喫茶店で時間を潰すのももったいないように感じます。

 ここに親御さんの時間を潰すニーズがあります。お子様が習い事をやっている間に、親御さんが同じ時間に、同じ建物で習い事ができれば、お子様は安心、親御さんも送迎の負担が減るのではないでしょうか?

 幸い、OBCの貸し会議室は2か所ありますので、うまく時間を合わせれば簡単に集客できます。習い事の候補は例えば、音読会、編み物、語学、トランプなどあまり準備時間を掛けずに、時間が来れば止められるものが良いと思います。

 開催時間等はこちらで相談お受けできますし内覧も可能です。また、定期利用の場合は1年間の長期先行予約もお受けしております。更に、OBC内へのパンフレットの掲載、貸会議室のページにリンクを貼り付けることもできますので、お気軽にお問い合わせください。

2024年04月24日

人件費はコストではなく付加価値である。

 人件費とは、給料や社会保険料などを指し、会計上の費用です。しかし、これを単なるコストとして捉えると、経営者は削減を目指すことになり、社員のモチベーション低下や長期的な成長に影響が出るかもしれません。

 この問題の一因は、売上高営業利益率(ROS)という業績評価方法にあります。一般に、ROSが高いことが株主にとって良い指標とされ、営業利益は人件費次第で調整可能なため、人件費を削減することでROSが上がります。

 たとえば、A社とB社が同じ売上だと仮定します。A社は低い給料を支払いROSが高く、B社は高い給料を支払いROSが低いとします。ここで、どちらが良い会社かという疑問が生じます。株主にとってはA社が良いかもしれませんが、社員にとってはB社です。しかし、社員の満足度が低い会社が将来的に成長していくのでしょうか?

 そこで、付加価値額という別の評価手法があります。これは、営業利益に人件費と減価償却費を加えたもので、企業の評価として妥当性が高いと考えられます。付加価値額を従業員数で割った労働生産性も重要な指標です(付加価値額は賃借料や租税公課を加える場合もあります)。

 経営者はどちらの指標を見ながら経営すべきか考える必要があります。上場企業の経営者はROSを重視しますが、特に小規模企業では付加価値額の方が重要であると考えます。そのためには、営業利益、人件費、設備投資などのバランスを考えつつ、社員の満足度を高めていく必要があります。

 また、人件費は広告宣伝費とも考えられます。社員の待遇が悪いと会社の評判が悪くなり、業績に影響が出る可能性があります。逆に、待遇の良い企業では社員のモチベーションが高まり、業績UPに寄与します。

 最近では、労働条件に虚偽を提示する企業もあります(猫の液体フードや缶詰を作っている会社のことです)。その結果、社員のモチベーション低下や品質管理上の問題が発生する可能性があります。経営者が人件費をコストとして認識することが、こうした問題の一因と考えられます。

 まとめますと、私自身の会社経営や社外にコンサルティングを行う際には、経営者が人件費を付加価値として捉え、社員の給料増加に焦点を当てることが重要だと考えています。人件費を単なるコストとして捉えると、将来的に痛い目に遭う可能性が高いとも言えますね。

  

2024年04月18日

小さな会社の社長の “攻め” の営業戦略

 前回の記事では、おすすめ“しない”営業戦略について書きましたが、今回はより踏み込んだ“攻め
の営業戦略について書いてみます。

1.ポケットティッシュ作戦

 街中でポケットティッシュ配りをしている人をよく見かけますが、大くの人がそれを受け取りません。歩合制でなければティッシュを相手が受け取ってくれなくても人件費がかかりますので、非効率な営業方法であると言えます。しかし、ポケットティッシュが受け取られないなら、自分でポケットティッシュのポスティングをしてはどうでしょうか? 守りから攻めに転じるのです、

 チラシと違って、ポケットティッシュなら使い切るまで広告効果が持続しますし、マンションなどでポスティングが禁止されていても、管理人さんに「使ってください」と言って渡すことができます。さらに、飲食店などではテーブルごとに置いて貰えるかもしれません。しかも、ポケットティッシュは安いので広告効果は高いのです。

 実際、OBCのレンタルオフィスの会員様から飲食店に自社のサービスを宣伝したいとの相談があり、このポケットティッシュ配布作戦を提案しました。その会員様も効果ありそうだと感じ、すぐに発注して自ら配布したところ、ポスティング中にお店の人と話すことができたため手応えを感じたと仰っておりました。その商材は認知されてもすぐに注文されるものではありませんが、広告としては十分効果があったようです。

 それにポスティング業者に頼らず、自分で配布したのも良かったのだと思います(コストも抑えられますし)。

2.求人面接作戦

 この作戦は、私自身が実践して、過去2回成功した方法です。まず最初に、自分が事業としている業務に関連する業界や見込み客となりそうな企業のアルバイトや正社員の求人をインターネットで探します。求人が見つかればその企業に履歴書と職務経歴書を送ります。これらの書類は個人情報を含んでいるため、責任のある立場の方が目を通してくれると期待できます。これだけでも宣伝効果があります。

 さらに、相手に会ってみたいと思わせるコツもあります。それは、職務経歴書をいかに作りこむかに掛かっています。職務経歴書は履歴書と異なり、特定のフォーマットがないため、画像や写真を活用し、カラー印刷で印象に残りやすい体裁にします。

 もし、面接までたどり着けたら、後は実績をしっかりPRした上で、できれば外注契約でお願いしたいと提案します。その際、「外注の方が雇用保険などの手続きが不要ですし、仕事内容に不満や問題があれば契約解除が可能です。お互いメリットありますよね?」と伝えると、相手もメリットを理解をしてくれます。

 この作戦は相手の公式な求めに応じて書類を送っているため、飛び込み営業やテレアポと違い反響が非常に高いです。また将来的に取引先になる可能性もあるので、不採用でも理由ぐらい聞かせてもらえます。この作戦も会員様に紹介したところ、「ちょっとズルいけど良いですね!」と好評で、すぐに実践されたそうです。

 ただし、偽装派遣や偽装請負にならないよう、契約条件を十分確認する必要があります。求人への応募はあくまでも自分を知ってもらうための宣伝手段であり、違法行為にならないよう注意してください。

3.業務提携作戦

 小さな会社が生き残るには業務提携が不可欠です。しかし、実際どこから始めればいいのかわからないかもしれません。私自身も最初は手探り状態でしたが、最近ではコツをつかんで実績を上げることができてきましたので、その方法をご紹介したいと思います。

 それは、ズバリ、「無償の営業代行」です。

 何をするかと言うと、まず最初に、提携したい相手を見つけます。一番簡単なのは自社の既存の顧客や取引先です。既に何らかの人間関係が形成されていますので、打合せの合間や会計時など、ちょっとしたタイミングでヒアリング(雑談)します。そこで、相手の業界の動向や、事業の将来性、課題や悩みなどを聞いています。例えば、「最近、会社の景気はどうですか?」などと質問し、「売上が伸びずに困っているんだよ」という回答があれば、価格の問題なのか、性能の問題なのかなどと、どんどん質問してみます。相手が質問に答えてくれるなら、その場で一緒に解決策を考えていきます。この時のコツはなるべく相手に話させることです。相手は話を聞いてくれたというだけでも満足感を与えます。

 もし、良い提案ができそうならその場で提案しても良いですし、後日メールなどで連絡します。「先日は、お時間頂き大変勉強になりました。ありがとうございます。おせっかいかとは思いますが、〇〇のようなアイディアを思いつきましたのでご参考にしていただければ幸いです。」という内容で送ります。そうすると相手もしっかり話を聞いてくれた上に提案までしてもらったという感じるでしょう。

 この作戦を続けていくと、ある時点で相手から、事業が軌道に乗ってきたと感じたり、アドバイスが参考になったなどと感謝の言葉を貰えるようになります。さらに続けていくと、一緒にビジネスをしたいとか、報酬を払うのでもっと手伝って欲しいと言われるようになります。

 この作戦のコツは、こちらから報酬の話はしないこと、結果が出るまであきらめずに応援し続けること、相手の仕事を自分の仕事だと思って取り組むことです。まさに「金は後からついてくる」のです。報酬は相手に決めてもらいます。こちらは元々コストが掛かっていないので、相手が支払える分だけ受け取ります。そして受け取った報酬をまた相手のために使うことで、もっと報酬が増えていきます。

 業務提携というのは信頼関係がなければ成立しません。焦らずじっくり進めていくことが成功の秘訣です。

 

2024年04月17日

小さな会社の社長の “しない” 営業戦略

 OBCのレンタルオフィス会員様は他からの移転で入会されることもありますが、やはりサラリーマンを辞めて、独立・起業される方が多いです。その中で、開業当初にお客様を確保することができず、軌道に乗るまで苦労される会員様が多いのが実態です。そして、一部の会員様は自分ではどうにもできなくなって、私に相談・助言を求められることがあります。私がアドバイスした事例を紹介しながら、営業戦略の参考になれば幸いです。なお、これは業種や置かれた状況により、全ての会社に当てはまる訳ではないですし、場合によっては全く逆のアドバイスをする可能性もありますのでご承知おきください。

1.安売りするな

 私も最初はそうでしたが、開業直後は仕事がないので、どうしても値段を安く設定し”薄利多売”で仕事を取ろうします。しかし、安く受注したところで、それが継続・安定して受注につながるとは限りませんし、多くの場合、“薄利少売”になってしまっているようです(単発で終わることが多い)。この方法では事業継続が困難になりますので、絶対におすすめしません(安くしたい気持ちは十分わかりますが…)。そこで、まずはお客様と商談の段階まで持っていき、「いくらならご発注頂けますか?」とか、「ご予算はどれくらいでしょうか?」と聞いています。そこで、「まずはそちらから最初に料金を開示して欲しい」と言われたら、ちょっと高めの見積を出します。その時に、「予算が合わなければご相談ください。」と付け加えることも忘れないでください。そこからが勝負で、値引き要請があれば、「いくら値引きすればご発注頂けますか?」と聞いてみます。そして、双方予算が合えば「今回だけのお試し・限定価格です」と言って受注すればよいのです。
 薄利多売は大手企業の戦略で開業当初の1人会社が取るべき戦略でないです。どうしても薄利多売をする必要があるなら、顧問契約やサブスクのような定期的に収益が上がるビジネスモデルに転換しないと早晩行き詰ります。

 なお、これには例外があります。特に海外の顧客で、いくら安い値段で出しても、必ず高いと言ってくる人がいます。それは値引き要請ではなく、相手にこちらの要求を飲ませたという優越感に浸りたい性格の人がいます。特に隣国の方で、このようなビジネススタイルの方が多いので要注意です。その場合は、単純にお断りすれば良いのです。相手が本当に欲しいなら、いったん断っても交渉は再開されますのでご安心ください。

2.なんでもするな

 これも1番目のアドバイス関連しますが、とにかく最初は売れないので、なんでもやります!と言ってしまう人が多いです。ですが、発注側の気持ちを考えてみてください。独立直後で実績もない会社に何かを発注するということは、それだけでリスクがあるのです。品質やサービスレベルが不明であり、納期通りに対応してもらえる保証が何もありません。

 過去に、私が超大手企業と取引したときは契約段階で3年分の決算書を出すように言われたことがあります。その時は先方から取引したいとのことだったので、1期目でまだ決算書もないと伝えたところ、決算書の提出なしでも取引できました。 逆に考えると、その会社は実績のない会社とは取引しないという方針だったようですが、私はある分野で専門性に特化していたので契約に至りました。
 やはり自分の得意分野・専門領域で差別化して営業していかないと受注は到底難しいです。まずは自分が得意分野で経験と実績を積み上げるまで、なんでもやってはいけないのです。例えて言うなら、1人会社の社長はスーパーマーケットやコンビニではなく、専門店を目指す必要があるのです。

3.売るな

 これはちょっと驚かれるかもしれませんが、開業してからすぐに消費やサービスを売っては行けないのです。よく、「〇〇の資格を取って独立したので、仕事ください!」という方がいますが、これは最もダメな営業行為です。仕事に飢えている経営者に仕事は回ってきません(異性に飢えている人が恋人ができないのと同じですね)。受注したい気持ちが先走って安値で受注してしまい利益が出ないどころか赤字になってしまったり、手に負えない仕事を受注してしまって、顧客を満足させることができず信頼を失うことすらあります。
 まずは、自分の商品やサービスを売るのではなく、相手を豊かにすることを考えて欲しいのです。Give and Takeや費用対効果という言葉も先に出費し、後から回収するのです。逆ではありません。具体的な営業方法として、まず見込み客を見つけたら、自分の仕事は後から貰えると信じて、相手の利益になることを真剣に考え、提案するのです。例えば、相手の話を聞いて、そのニーズに応じてお客様や専門家を紹介するとか、困っていることを解決してあげるなどです。その人から仕事を貰えるとは限りませんが、回りまわっていつか仕事がやって来ます。

4.焦るな

 営業は魚釣りをやっている感覚に似ています。まずは道具を準備し、適切なタイミングで、針にエサをつけて海の中に入れたら、後は辛抱強く待つ必要があります(ただ、待ち過ぎてもエサだけなくなっていたということもありますので、どこかで確認するのも大事です)。例えば、見積を出しても連絡がない場合は、こちらから電話してみるのが良いです(メールではなく、敢えて電話してください)。担当者から今どういう状況か、もう他に発注されてしまったのか、なぜ受注できなかったのかなどを聞くには電話の方が良いのです。そうして次回の営業活動にフィードバックしていくことで受注確度を高められます。

 また、案件が進まないときは戦略的に敢えて断ることも有効です。例えば、「見積有効期限が過ぎています」とか「他の案件を受注したので忙しい」などと言って一旦断ると、顧客が本当に発注する気があるなら「再度見積を出して欲しい」とか「〇〇までに発注する」などと言ってきます。逆に何もなければ、これ以上その案件を追う必要がなくなりますので気持ちを切り替えることができます。

 これも私の体験談ですが、5年前にドバイの展示会でたまたま知り合ったイタリア人社長から、日本に現地法人があるから帰国したら遊びに来いと言われたことがあります。帰国後すぐにアポを取って営業プレゼンに行きました。その時は特に仕事の発注もなく、コロナ禍中にそのイタリア人社長も帰国し、日本人の社長に代替わりしていました。ただ、そこの社員が私のことを覚えていてくれたようで、今年になって、新しい日本人社長と面談し、結果的には高額なコンサル案件を受注できました。その間特に営業活動はしていなかったのですが、5年間釣竿を海に入れていた状態だったのかもしれません。

 その他にもまだまだ営業戦略(というより手法とか戦術でしたね。)はあります。このようなコンサルティング業務はまず相談者様からのお話をよく聞いて、何が最適なアドバイスを考え、時間を掛けて議論しながらそのアドバイスをブラッシュアップしていきます。ですので、無償で行うことはできませんが、ご満足される相談者様がほとんどです。

2024年04月16日

貸し会議室での会議は料金以上の価値がある。

 コロナ禍で多くの企業がリモートワークやオンライン会議に移行しましたが、近年は出社も増えるなど、リモートワークの問題点が露見してきたように感じます。実際、1対1の会議ではオンラインで十分かと思いますが、複数名が参加するオンライン会議では議論が深まるとは到底思えません。ただ、コロナ禍でオフィスを縮小し会議室がなくなったという会社もあると聞いています。そのようなときは貸し会議室を利用せざるを得ないのですが、会議室の利用は料金というデメリット以上にメリットがあります。

 日本の企業の特徴として、何事も会議で決めることが多すぎるように感じています。それは後で「俺は聞いていない」などと言われるのを恐れ、ある種の責任逃れの場となっているからです。しかし、社内の会議室で会議をすると、気軽に会議を設定してしまうので、

  • なんでも会議で決めようとしてしまう
  • 会議を定例化してしまう
  • 必要以上に大人数を集めてしまう
  • 時間を延長してしまう
  • 急な電話や来客があった場合に中座してしまう

 という状況になって何事も会議をしないと決められなくなります。それに会議=仕事と勘違いする社員が増え、生産性が著しく低下してしまうのです。また、会議室という空間は使っていなくても賃料(賃貸の場合)は発生しますので、見えないコストが常に掛かっています。

 そこで、社内の会議室を廃止し、外部の貸し会議室の利用をすると、以下のようなメリットがあります。

  • 簡単な案件は社内で担当者のみで決める
  • 会社から移動する都合上、出席者を厳選する
  • 会議時間内に終わらせようとする(議論が深まる)
  • 会議のみに専念できる
  • プロジェクターなどの備品を保有する必要がない
  • 会議室利用料を払っているのでコスト意識が芽生える
  • 会議の途中で一緒に食事をすると、人間関係も改善される

 このように考えていくと、貸し会議室の利用はコストアップではなく、むしろメリットの方が大きいのです。また、OBCに限らず、最近では至る所に貸し会議室が増えてきましたので、もっとお気軽に利用されてはいかがでしょうか?

2024年04月13日

ITパスポートは経営者にこそ取って欲しい資格

 ITパスポート(略してiパス)とは独立行政法人 情報処理推進機構が実施する国家試験で、「iパスはITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。」との説明がありました。

 一方、インターネットで検索すると、「取っても履歴書に書けない、意味のない資格」などワードが出てきて、あまり良く評価されていないようです。しかし、日本経済新聞によりますと、「ニトリ 全社員の8割にIT国家資格 25年までに」という記事もあり、ITリテラシーを高めるうえで有意義であるものと考えます。さらに、簡単とは言っても合格率は50%程度であり、約半分の受験者は不合格になっているのが実情ですので簡単とまでは言い切れないと思います。

 私がこの資格の存在を知ったのは、昨年受験した中小企業診断士の試験の中で経営情報システムという科目があり、その対策としてITパスポート試験が役立つと知ったからです。(中小企業診断士の方は1次試験は一発合格しましたが、2次試験で不合格となりました。今年再受験です。)
 実際、ITパスポートの勉強をしてみると知らない言葉が多くて結構難しいと感じました。ただ、試験自体は選択肢の設定が甘いので消去法でも答えは導くことができます。
 勉強していて切実に感じたのは、この資格は「経営者にこそ取って欲しい資格である」ということでした。もちろん経営者がこの資格を取ったところで売上や役員報酬が増える訳ではないですが、経営者がシステム導入やセキュリティ対策、システム担当者との打合せの際に、最低限のIT知識を持つことは必要であると考えます。最近は少なくなりましたが、過去にはいかに優れた経営者であっても「システムのことはわからない」とか、「パソコン使えないから担当者に丸投げ」という事例が多くありました。また、中小企業ではシステム担当者がいない場合が普通なので、経営者がIT知識を持たないと経営面で痛い目にあうことがあります。

 実際、私がコンサルティングを行った会社の事例を紹介します。

 その社長様は40代後半の方で製造業を経営しておりますが、IT知識に疎かったため、ITベンダーから高額な生産管理ソフトを「補助金が出ますし、申請書類もこちらで作成します。」など言われ、安易に導入してしまったそうです。いざベンダーから操作指導を受けたものの、既存データのシステム移行やマスタのメンテ等はベンダーの契約範囲外であり、誰も使いこなせず困っていたそうです。当初、本件は私とのコンサル契約の範囲外だったのですが、他に誰も対応できない状況だったことから急遽このシステム立上げを支援することになりました。まずはデータ移行の前段階として、社内の既存データの分析から始め、システムに登録する必要がある情報の整理と基本的なルール作り、運用方法の仕組み作りまで行いました。試行錯誤の上、何とか無事に立上げに成功しましたが、このソフトは非常に使い勝手が悪く、私ならこのソフトよりももっと使い勝手の良いソフトを探していました。
 そもそも、中小企業にはそれほど大がかりなシステムは必要なく、Excelなどの表計算ソフトで十分なことも多いと感じていますが、自分達でExcelをうまく使いこなせないため、ベンダーから高くて使いにくいシステムを買ってしまっているようです。しかもカスタマイズができないので、結局、実務でも使い物にならないことが多いようです。

 さて、今年になって少し時間に余裕ができたので、1月末にITパスポートを受験してみました。この試験の良いところはCBT(パソコン画面を見ながらクリックして回答する方式)で試験日がほぼ毎日のように設定され、ネットで簡単に申込できるところです。試験会場はOBCから一番近い川崎の会場で受験しました。試験会場は一度に40名以上受験できる施設で、当日は20代~50代ぐらいの受験者が多数来ていました。試験時間は2時間で問題数は100問、6割以上の正解で合格です(その他合否要件ありますので試験運営サイトをご確認ください)。私は試験開始後、約1時間後に途中退室しましたが、最後に「試験を終了する(ような表現で正しい表記ではないと思います)」をクリックすると、その場で点数が画面に表示されます(合否判定ではなく、点数のみ表示されます)。
 結果は合格基準を超えており、後日合格証書が郵送されてきました。この合格証書自体は立派で経済産業大臣の名前まで記載されています。 比較的簡単と言われる資格とはいえ、合格したことは嬉しかったですし、ITパスポートは広く浅い知識で合格できるので、経営者にこそ取って欲しい資格であると思っています。