専門家による無料相談は双方のためにならない
先日、ある行政書士の先生と話す機会がありました。
その先生は入国管理の申請代行を主な業務としていて、集客のためにホームページで無料相談を受け付けているそうです。
ただ、無料相談から契約に結びつくケースが少なく、困っているとおっしゃっていました。
このような話は他の士業の方からもよく聞きます。一般的な悩みのようです。
「無料相談=雑談の場」になっていないか?
また、別の知人からは「近隣トラブルで何度も無料の弁護士相談を受けたが、一向に解決せず困っている」との話がありました。
弁護士を紹介してほしいと頼まれたので、「お世話になっている弁護士を紹介できますが、初回30分でも5,000円かかります。無料相談はありませんよ」と伝えたところ、「お金を払ってまで相談したくない」と断られてしまいました。
この方の目的は、問題解決ではなく、「誰かに話を聞いてほしい」だけなのだと感じました。
無料相談は専門家との雑談の場ではないはずですが、こうした使い方をしてしまう人もいるようです。
無料相談はなぜ成立しにくいのか?
こういった話を総合すると、無料相談という仕組み自体に課題があるのではないかと感じています。
要するに、**「報酬が発生しない専門家」と「報酬を払いたくない相談者」**がマッチングしているだけなので、問題解決につながりにくいのです。
行政や商工会議所など公的機関の無料相談は別として、民間の専門家にとって無料相談は広告宣伝の一環です。
相談者側も、その事情を理解した上で利用すべきだと思います。
特に、開業初期の専門家は「無料で相談に乗ることで疲弊しないように」気をつけるべきです。
個人的には、「無料対応」ではなく、「業務を受任した際に割引する」方が、双方にとって健全な関係を築けると思っています。
私も無料相談を受けることがありますが…
私自身も、専門家に無料相談をお願いすることはあります。
ただし、最終的に業務を依頼する前提で、見積をいただくための相談になるように心がけています。
もし、見積金額が合わず依頼できなかった場合でも、「タイムチャージ分をお支払いします」と伝えるようにしています。
これは、相手の時間を頂いた以上、その対価を払うのが当然だと思っているからです。
OBCでは会員様のみ無料相談をお受けしています。
ちなみに、私が運営している「OBC 大田ビジネスコミュニティーセンター」では、レンタルオフィス会員様だけに無料で経営コンサルティングを提供しています。
会員様からは月額会費をいただいているので、相談を受ける体制がとりやすいのです。ただ、書類作成や訪問動向などの際は有償対応となります。
一方、非会員の方に対しては有償対応とさせていただいております。たまに、無料で相談したい、誰かを紹介して欲しいという方が来られますが、対応致しかねますのでご了承ください。
無料相談を上手に使うには?
ビジネスにおける無料相談は、慎重に活用すべきだと考えています。
無料相談が乱用されると、専門家の時間や労力が無駄になるばかりか、「本来の目的=問題解決」からも外れてしまいます。
無料相談は「お試し」や「入口」として上手に使い、必要に応じて適正な報酬を支払うことで、健全なビジネス関係を築くのが望ましいと考えます。